マレーシア機撃墜事件遺族、ロシアに対して罪を認めるよう呼びかけ
ウクルインフォルムのハーグ特派員が伝えた。
遺族の一人の女性は、「私は、罪人が謝罪すること、ロシアが自らの罪を認めることを期待している。特に見るのが苦しいのは、ロシアによる偽情報発信、嘘に嘘を重ねている様だ。私たちは、裁判が事件に光を当てることを期待してる」と強調した。
この女性はまた、自らの名を名乗ることを拒否し、裁判では殺された自分の娘、エリン・マリエンカ・フランクスという名だけが聞かれれば良いと発言した。
女性は、娘の告別式の写真や、事件後に送られてきた娘の所持品を提示した。
また、女性は、「私は今日、娘を失った母として話している。そのことは、私の人生を永遠に変えてしまった。旅客機がミサイル『ブーク』で撃墜されたことは、犯罪であり、その犯罪者は罰されなければならない。私の娘は、婚約することも母になることも決してない…。旅客機を撃墜した者が彼女からそれらを剥奪したのだ。私がおばあちゃんになることもない。私たちはそれを奪われた。私の時間は止まったのだ…。彼女は、友達とともにタオルを買い、それに彼らの名前を縫い込んでいた。私は、物品リストにてそれに気がつき、今日それを持ってきた。素晴らしい人生がばらばらになり得ることを示すシンボルである」と発言した。
遺族の中には、自分自身で証言を行うことができない者もおり、その場合は、弁護士が代わりに証言を行っている。ヘンドリック・ステインハユス裁判長は、発言する遺族たちを落ち着かせようと務めている。
マレーシア航空機撃墜事件とは、2014年7月17日、アムステルダムからクアラルンプールへ向かっていたマレーシア航空機MH17がウクライナ東部ドンバス地方上空で武装集団により撃墜され、乗客・乗員合計298名全員が死亡した事件をいう。
2016年9月、国際共同捜査チーム(JIT)は、同事件の技術捜査の結果として、同航空機が、親露武装集団支配地域から地対空ミサイルシステム「ブーク」により発射された弾頭「9M38」により撃墜されたことを判明させている。
同時に、民間調査グループ「ベリングキャット」は、MH17を撃墜した「ブーク」がロシア軍第53対空旅団発のものであることを判明させていた。ベリングキャットは、ソーシャル・メディアとオープンソース情報の独自の分析を通じて、MH17撃墜に関与した20名のロシア軍人を特定させた報告書を発表した。これら軍人の名前が写真付きで示されているこの報告書は、オランダの検察に渡されている。
2018年5月24日には、JITは、MH17を撃墜したロシアのミサイルの破片を公開しつつ、ミサイルがロシアのクルスクを拠点とするロシア軍第53対空ミサイル旅団に属するものであることが判明したと発表した。
なお、2019年6月、マレーシア航空機MH17撃墜事件の捜査を行う国際共同捜査チーム(JIT)は、同撃墜に関与した容疑者4名(イーゴリ・ギルキン(ロシア国籍、ロシア連邦軍元将校、ロシア連邦保安庁(FSB)元大佐)、セルゲイ・ドゥビンスキー(ロシア国籍、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)大佐)、オレグ・プラートフ(ロシア国籍、予備大佐)、レオニード・ハルチェンコ(ウクライナ国籍))を公表している。