ウクライナ軍、ロシアの最新電子戦システムを2台破壊
2日、情報コミュニティサイト「インフォーム・ナパーム」が伝えた。
発表には、「今日、ウクライナ軍の将校で、フェイスブック上にてニックネーム『ドミトリー・ミュラー』を名乗り投稿している人物が、ドンバス地方のロシア占領軍所有の電子戦システム2台を破壊した際の証拠動画を公開した。動画のコメントにて、ミュラー氏は、2019年6月29日、(ドネツィク州)マヨロヴェ近郊のウクライナ軍部隊の一つが電子戦システム『トルンMD』を2台破壊したと伝えている」と書かれている。
他方、発表には、インフォーム・ナパームのボランティア・メンバーたちが、自身の情報獲得ルートを通じて事実確認をしたところ、6月29日に確かに破壊は行われたが、一方で、破壊されたのは二つの別々のシステムであったと書かれている。実際に破壊されたのは、1つは最新の「トルンMD」だが、もう一つはロシアの別のジャミング・システム「R330Zh ジーテリ」であったと伝えられている。
発表には、「『トルン』は諜報を行い、『ジーテリ』はジャミングを行う。トルンを2台同じ場所に配置するのは意味がない」と書かれている。
また、インフォーム・ナパームのボランティアたちは、これら電子戦システムは複雑であり、専門家しか扱えないものだと指摘し、そのため、今回の攻撃の際、これら高価な電子戦システムの破壊以外に、ロシア軍の軍人を殲滅した可能性もあるとの見方を示した。
ボランティアたちは、今回2台のロシア最新電子戦システムが破壊された地点を調べ、47°29’50.2″N 37°58’31.6″Eであると特定した。
また、発表には、これらの電子戦システムは、過去に欧州安全保障協力機構(OSCE)特別監視団(SMM)にて確認されたことがあることを喚起した。「2019年2月10日、OSCE・SMMは、短距離無人機(UAV)にて、軍用トラック(カマーズ)にて積まれた電子戦システム『トルン』を発見。同トラックは、ノヴォフリホリウカの民間居住施設の近くに停まっていた。OSCEの報告書に報告されている」と書かれている。
加えて、ボランティアたちは、2015年以降、ロシアの諜報システム「トルン」とジャミング・システム「ジーテリ」を繰り返し確認しており、ドンバス地方におけるロシア軍のプレゼンスの証拠としてデータベースに登録してきていることを喚起した。
発表には、「2019年7月1日時点で、私たちのデータベースには、ドネツィク・ルハンシク両州一部被占領地域において発見されたロシア連邦軍の51種の軍事技術品・兵器が既に登録されている。さらに、インフォーム・ナパームのデータでは、ロシア連邦の異なる軍管区出身の98の部隊の軍人によるドンバス地方での戦闘参加の事実を明らかにしている。彼らは、戦争にアドバイザーや指揮官として参加したり、ロシア占領軍の大隊戦術グループやハイブリッド戦闘部隊の人員として参加したりしてきた」と書かれている。
つまり、インフォーム・ナパームのファクトチェックにより、ウクライナ東部ドンバス地方の最新のロシア軍事機器の破壊が6月29日に確かに行われ、破壊地点が特定された他、自らの情報源を通じて、事実確認と追加情報獲得が行われたことになる。