国際司法裁判所ウクライナ対ロシア公聴会終了 裁判所の管轄権有無を巡り

国際司法裁判所ウクライナ対ロシア公聴会終了 裁判所の管轄権有無を巡り

ウクルインフォルム
7日、ハーグの国際司法裁判所(ICJ)でウクライナ対ロシアの4日目公聴会(最終日)が行われ、ウクライナ側代表者がロシアの主張に反論した。ICJは、今後、今回の公聴会の結論を受け、本件に対する管轄権の有無を決定する。

同日の公聴会では、ウクライナ代表団のオレーナ・ゼルカーリ外務次官、イェール大学のハロルド・ホンジュ・コウ教授、ハーグ国際法アカデミーのジャン=マルク・トゥヴェネン教授が発表した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。

ゼルカーリ外務次官は、「私は、ロシアの(マレーシア航空機)MH17の悲劇への態度に失望している。証拠は次々と出てきている。国際共同捜査チーム(JIT)の全ての関係者が捜査結果を支持している。JITの作業は終わりに近づいており、私は、間もなく容疑の確定が発表されると確信している。個別の人物に対する裁判は、事件そのものと同様に重要である。MH17は、テロ資金供与の歴史の悲劇的な1ページである。そして、この出来事の全てがその本質を完全な形で審議されねばならない」と強調した。

また同次官は、ロシア連邦側代表が、国際裁判所における発表で他国であるウクライナの国内問題にコメントしていることに衝撃を受けたと述べた。次官は、「月曜日(3日)、ロシアは、ウクライナで『暴力的国家転覆』があったとして私たちを非難した。昨日(6日)は、同国はウクライナの(大統領)選挙の結果を私たちの不利な形に利用しようとした。しかしながら、疑念を解かせて頂きたい。私は、ここに、ウクライナ大統領の命を受けて立っている。ウクライナの国益防衛、ウクライナ国民のための正義の回復という明確なマンデートを有している」と発言した。

ゼルカーリ次官は、最終審議の場としてICJに対して要請を行ったのだと喚起し、「私たちが要請していることは、ウクライナ問題を審議するよう求めることだ」として、ICJが「ウクライナ対ロシア」の裁判管轄権を認めるよう改めて求めた。

同次官は、「ロシアは、法の規範を捻じ曲げ、事実を否定することで、係争の内容を歪ませようと試みてきた。しかし、ウクライナの要求は明確である。そして、係争の存在は明白である。私たちが係争解決のための良心的努力は、ICJの管轄権同様に、明白である」と発言した。

次官は、ロシア側のこれまでの発表にコメントし、「昨日行われた発表は、またも注意をそらす内容のものであった。ワードワース氏は、事実を分析することなく、複数の監視員が『テロリズム』という用語を使っていなかったというだけで、ウクライナにテロリズムなどないことを認めるべきだと述べていた。ツィンメルマン氏は、ロシアの国内法は国家公務員によるテロリズムへの資金供与を禁止していることを認めた。同時に、同氏は、ウクライナのロシアへのその犯罪を防ぐように求める要求はおかしいものだと述べた。ペレ教授は、ウクライナに対して、非常に真面目に、ロシアのbonnes grace、善意に期待するよう忠言した。また、同教授は、ロシアがICJ本件の決定を不正義だと見なし、受け入れないだろうと予想した。フォルト教授は、ICJの暫定措置は『目的を失っている』と決めつけた。ロシアは、自分でどの命令が法的拘束力を持ち、どの命令は持たないか、決められると考えているのだ。これは、私が火曜日(4日)に述べた、ロシアの国際法への態度というものを、再確認させるものに過ぎない」と強調した。

ゼルカーリ次官は、ロシアが国際法を重要だと思っていないのだと指摘した。

同次官は、「ロシア側代表者の言葉を引用する。『ウクライナは、この裁判所に、案件のような何かを提出したのだ』。本件は、『案件のような何か』などではない。本件は、深刻なものであり、深刻な国際条約の違反に関するものなのだ。ロシアが本件を真剣に受け止めていないことを私は残念に思う」と発言した。

この他、コウ教授は、ロシアの反論は否決されなければならず、裁判所は本件の審議に入るべきだと主張し、ロシアが自国領からテロへの資金供与キャンペーンをしていると指摘した。

トゥヴェレン教授は、ICJで発表するロシアの代表者がテロ資金供与防止条約(ICSFT)の条項の本質を自らに都合の良いように解釈していると強調した。

本日のウクライナの発表により、公聴会は終了した。ICJは、今回の公聴会の結論を受けて本件(ウクライナ対ロシア)の管轄権がICJにあるかどうかを決定することになる。同決定は、年内に出されることが期待されている。

ICJが管轄権を認めた場合、本件の内容に関する審議が始まることになる。

公聴会終了後、ゼルカーリ次官は、記者団に対して、「私たちは、裁判所に対して、ロシアがどのような事実を印象操作しているかにつき伝えた。私たちは2時間にわたり、ロシアのマニピュレーションについて説明した」と述べた。

また、同次官は、ウクライナはICJに訴える前に、ロシア連邦代表者と協議を繰り返してきたことを喚起した。同次官は、「私も個人的に全ての協議に参加してきた。初めから、裁判所への要請までの期間である。私たちは、11回、ロシア連邦との協議のためにミンスクを訪れた。あなた方は想像できるであろうか。毎回、私たちがミンスクを訪れ、事実を提示し、ロシアがこの二つの国際条約を違反していることを証明すると、ロシア側からは『私たちの間に係争はないと思う』と返答される。それが、どれだけ困難であったか」と感情的に説明した。

これまでの報道にあるように、6月3〜7日、国際司法裁判所(ICJ)にて、テロ資金供与防止条約と人種差別撤廃条約に関するウクライナ対ロシアの公聴会が行われた。

本件(ウクライナ対ロシア)は、2017年1月16日にウクライナ側がICJに提出したもの。

提出されたウクライナからロシアに対する断罪内容は、ロシアによる違法武装集団への武器等供与、マレーシア航空機MH17の撃墜、マリウポリ・クラマトルシク民間人居住地区への砲撃、ヴォルノヴァハ近郊での民間バス破壊、ハルキウ市平和集会時の爆発、ウクライナ人・クリミア・タタール人コミュニティに対する差別、クリミア・タタール民族代表機関「メジュリス」の活動禁止、一連の失踪・殺人・家宅捜索・拘束、ウクライナ語・クリミア・タタール語の教育機会の制限となっている。

なお、これまで、2017年3月6日に、ICJで本件に関する最初の公聴会が行われており、それを受けて同年4月19日、ICJは暫定措置の決定を言い渡している。ICJは、この決定にて、ロシアに対して、メジュリスの活動を再開させること、クリミアにウクライナ語での教育を保障することを命令している。


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