ワグナー事件調査は記事執筆中=ベリングキャット

ワグナー事件調査は記事執筆中=ベリングキャット

ウクルインフォルム
民間調査グループ「ベリングキャット」は、露民間軍事会社「ワグナー(ヴァグネル)」の傭兵を拘束するウクライナ政権の作戦失敗に関する調査文書を10月末までに発表する。

ベリングキャットの創設者エリオット・ヒギンス氏がウクルインフォルムのハーグ特派員にコメントした。

ヒギンス氏は、「ワグナー事件調査は、終了しており、現在執筆段階にある。事件の複雑さと私たちが入手した証拠の多さから、執筆プロセスに多くの時間がかかっているが、私たちは調査のテキスト部分が10月末までには準備できるように努力している。遅れの理由は部分的にチームが作業している深刻な調査の数の多さにあり、そういう調査は他の調査より優先しなければならなくなる時がある。しかし、私たちは、今後数週間以内に記事を公開できるよう、あらゆる努力をしている。調査の動画部分は、来年に発表される。しかし、遅れの観点から、具体的にいつとなるかは言いたくない」と発言した。

これに先立ち、9月8日、CNNがウクライナ東部での戦争犯罪容疑のかかっているロシアの民間軍事会社「ワグナー(ヴァグネル)」を拘束することを目的とし、昨年7月に失敗したウクライナの特殊作戦計画に関する独自調査記事を発表していた。

同調査では、CNNはウクライナの元情報機関職員(匿名)3名の話を伝えている。彼らの話によれば、彼らは特殊作戦の計画にて自らをロシアの民間軍事会社の傭兵のふりをしていたという。同社は、警備員の仕事だとして人々を雇いながら、彼らにベネズエラの石油施設の警護のために月5000米ドルの仕事の契約を提案していたという。

さらにウクライナ元情報機関職員の話では、米国があたかもウクライナの特殊作戦を「現金、技術、アドバイス」にて支援していたというが、他方で、CNNが米国政府の高官に問い合わせると、彼らは、そのような発言を否定し、「ウクライナのリスクある作戦が失敗したことの罪をなすりつける試みだ」と述べたと言う。

CNNは、その「ベネズエラの仕事」には何百ものロシアの傭兵が応募し、それが、ウクライナの情報機関にとってウクライナ東部での戦争犯罪容疑者を摘発するチャンスとなったと指摘している。傭兵たちは、自らが参加したウクライナ東部での軍事経験、戦闘行為に関する情報・証拠を示し始め、ウクライナ東部やその他の場所での自らの「活躍」に関する写真や動画の情報をを送り始めたという。

CNNは、その内の2名がMH17撃墜に関わり、さらに4名が、70名のウクライナ軍人が死亡したウクライナの軍用ヘリ撃墜に関与していたことを示したと伝えたという。

なお、本件は、昨年7月29日、ベラルーシ当局が、ミンスク近郊にてロシアの民間軍事会社「ワグナー」の傭兵を33名拘束した事件に関するもの。ウクライナ政権は、拘束された者のうち28名は過去にドンバス紛争に参加し、ウクライナ政権に対して戦っていた者だと指摘し、ベラルーシ側に対してウクライナへの引き渡しを要請したが、その後8月14日、ベラルーシは、これら拘束されたワグナー傭兵の内32名をロシア連邦に返還。ゼレンシキー大統領は、ベラルーシの決定につき「明らかに信頼、客観性、否定的影響への適切な評価を度外視した出来事だ」と伝えていた。

これに対して、昨年8月18日、ウクライナの記者のユーリー・ブトゥソウ氏が、ウクライナ治安機関内関係者発言だとして、ベラルーシで同国当局による露民間軍事会社「ワグナー」の傭兵の拘束はウクライナの特殊機関の特殊作戦がウクライナ大統領府からの情報流出により失敗したものだと発言。さらに、ポロシェンコ政権時の幹部であるオレクサンドル・トゥルチノウ元国家安全保障国防会議(NSDC)書記とユーリー・ルツェンコ元検事総長は、ベラルーシでの露民間軍事会社「ワグナー」傭兵拘束は、ウクライナの特殊機関の作戦が失敗したことによるものだとして、最高会議(国会)に捜査委員会を設置して捜査するよう主張していた。

一方、アンドリー・イェルマーク大統領府長官は、ウクライナ特殊機関がワグナー傭兵拘束の作戦を準備していたが、大統領府の会議の後の情報流出で失敗したかのような情報は、あらかじめ用意されていた偽情報キャンペーンだと発言した。

2021年9月、「ベリングキャット」のフリスト・グロゼフ(Christo Grozev)調査員は、ロシアの露民間軍事会社「ワグナー(ヴァグネル)」の傭兵を拘束するウクライナの作戦の失敗に関する調査のテキストは、もうすぐ公開されると発言していた


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