ウクライナ・米国、戦略的パートナーシップ憲章を刷新

ウクライナ・米国、戦略的パートナーシップ憲章を刷新

ウクルインフォルム
10日、クレーバ・ウクライナ外相とブリンケン米国務長官は、ワシントンにて、新しいウクライナ・米国戦略的パートナーシップ憲章に署名した。同憲章は、二国間関係の主要分野における今後10年間の基本的方向性を定める内容となっている。

署名は、米国務省の建物にて行われた。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

今回の憲章は、2008年に締結されたものに代わるものとなる。2021年版憲章の特徴は、ロシア連邦による対ウクライナ侵略をはじめとする、新たな現実を踏まえた内容となっている。

米国は、同憲章の署名により、クリミアを含む、国際的に認められた国境内でのウクライナの主権、独立、領土一体性を支持する義務を確認している。また、欧州・黒海地域における安全保障強化を目的とした二国間連携の拡大が定められている。また、米国は、ウクライナの欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)への加盟願望の支持を確認している。

憲章では、ウクライナの重要国内改革の実現が肯定的に評価されている。加えて、ウクライナ経済の変貌計画への支持が表明されている。

クレーバ外相は、署名後記者会見にて、「米国は、ロシア侵略への対抗、私たちの主権・領土一体性防衛においてウクライナを支持している。私たちは、米国のパートナーたちに対して、ウクライナとの安全保障・防衛上の連携をさらに拡大させる準備があることにつき感謝している。攻撃的ロシアを抑制する上で最善の手段は、ウクライナが強固であり、またウクライナには強力な同盟国がおり、その同盟国がウクライナを侵略国と1対1で対峙させることはない、ということをロシアに理解させることだ。私たちは、そのようなシグナルを、今日モスクワに対して送ったことになる」と発言した。

外相はまた、ロシアによるウクライナ国境近くやベラルーシでの攻撃的行動、一時的被占領下クリミアにおけるさらなる軍事化が生じている中で、今回、ウクライナ・米国戦略的パートナーシップ委員会の活動が再開されたことと新しい戦略的パートナーシップ憲章が署名されたことは、非常に時宜にかなったものだと指摘した。

外相は、「ロシアの対ウクライナ侵略は、ウクライナが西側の不可分の一部として機構化され、疑義を挟む余地がなくなった時に、終了する。今日、私たちは、その方向で重要なステップを行い、新しいウクライナ・米国戦略的パートナーシップ憲章に署名した。それにより、ウクライナと米国は、さらに効果的に共通の挑戦と対峙できるようになる」と発言した。

外相はまた、今回の協議において、ウクライナの経済成長、米国投資の誘致、両国間貿易量の拡大についても注意が向けられたと伝えた。

ブリンケン米国務長官は、今回署名された憲章につき、「それは、バイデン大統領とゼレンシキー大統領の9月1日付共同声明に記されている、相互優先課題の前進への両国の不変のコミットメントを示しており、安全保障、法の支配、経済変貌をはじめとする重要強力分野を強調している」と指摘した。

長官はまた、戦略的パートナーシップ関係において、「もう一つの重要なテーマ」は、「民主主義の強化と汚職との闘いに向けたウクライナの恒常的かつ野心的な努力」だと伝えつつ、ウクライナ国内外に「改革努力を弱体化させ、自らの狭隘な利益をウクライナ国民の利益の上に据えるべく、あらゆることを行う」勢力が存在すると指摘した。

その上で長官は、米国はウクライナの改革面の重要な行動を肯定的に評価しており、具体例として、国家汚職対策局(NABU)法関連作業の終了を指摘した。同時に、長官は、「ただし、まだ多くのすべきことがある」とも述べ、米国はウクライナ政府と市民社会の重要改革努力、そしてNATO加盟願望を支持し続けると強調した。長官は、戦略的パートナーシップは、それらの目的を達成する上での具体的な行動を定めるものだと指摘した。

加えて長官は、両者がウクライナのエネルギー安全保障を保証する手段についても協議したとし、新たな財政的サポート、エネルギー供給源の多元化、「ロシア産天然ガス輸送合意を延長するために、あらゆるテコと圧力を用いるための」同盟国・パートナー国との作業、ウクライナによる欧州の電力ネットワークに加わるための努力のサポートについて協議したと伝えた。

長官は、戦略的パートナーシップの活性化は、両国パートナーシップを強化する手段の一つであるとし、「私たちは、今日達成された進展が実現されることを待ち望んでいる。私たちは、両国にとって大きな意味を持つパートナーシップを発展させていく」と強調した。

なお、10日、ワシントンにて、ウクライナ・米国戦略的パートナーシップ委員会会合が開催され、クレーバ外相とブリンケン米国務長官が共同議長を担った。


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