ゼレンシキー大統領、ジョンソン英首相とウクライナ治安情勢を協議
ウクライナ大統領府と英政府の広報室が公表した。
ウクライナ側発表では、ゼレンシキー大統領は、現在の安全保障上の挑戦を背景に、ウクライナ周辺の情勢を報告したとある。大統領府によれば、ゼレンシキー大統領は、現存の協議フォーマットにおいてウクライナ側が平和達成のために行っている行動を伝えた。
ゼレンシキー氏は、ジョンソン首相に対して、ロシア・ウクライナ紛争解決協議を行う独仏宇露4国からなるノルマンディ・フォーマットの協議プロセス活性化のためにウクライナが行っている方策について伝えた。同氏はまた、ウクライナ側は、被拘束者の相互解放をはじめ、ウクライナ側の和平イニシアティブについて報告した。
さらに同氏は、ジョンソン氏に対して、英国によるウクライナの主権と領土一体性、並びにウクライナの欧州大西洋統合願望を一貫して支持し続けていることにつき謝意を伝えた。ゼレンシキー氏は、「あなた方の立場は明確で、わかりやすく、不変だ。そして、それこそが、ウクライナの人々が私たちのパートナーから期待していることなのだ」と強調した。
ゼレンシキー氏はまた、英国がウクライナに対して提供している安全保障分野の実質的支援の重要性を指摘した。
同氏は、情勢解決、ロシアの侵略激化阻止の問題におけるパートナー国の役割を指摘した上で、ウクライナ抜きでウクライナに関する決定は一切採択されてはならないと強調した。
加えて、西側諸国はロシアと対話する際に堅固に臨み、決断力を持ち続けなければならないとし、ロシアの攻撃的意向に対抗するには、ロシアに対する予防的制裁パッケージの速やかな発動を準備すべきだと発言した。
両者は、「エネルギー武器」として使われている独露間新天然ガスパイプラインプロジェクト「ノルド・ストリーム2」に関する評価が一致していることを確認した。
また、英国側発表では、ジョンソン英首相は、ウクライナ国境沿いのロシアの脅威をもたらす振る舞いを受けて、英国がウクライナを断固として支持していることを確認するためにゼレンシキー大統領に電話したと伝えた。
発表によれば、ジョンソン氏は、英国と北大西洋条約機構(NATO)のその他の同盟国がウクライナの主権と領土一体性に対してコミットしていることを確認した。ジョンソン氏はまた、ウクライナは自らの意思に基づいて自由に選択ができなければならないと強調した。
両首脳は、ロシアがウクライナに侵攻した場合の凄惨な結果を協議した。ジョンソン氏は、そのような行為への返答としての、パートナー国との大規模な経済制裁の準備について強調した。
両首脳は、現在の危機の解決と更なるエスカレーションの予防には、対話と外交が重要だとの点で一致し、両国は引き続き国際パートナーと緊密に協力し続けることを確認した。
これに先立ち、12月17日、ロシア連邦外務省は、ロシアと米国、及び、ロシアと北大西洋条約機構(NATO)の間の合意文書案を公開していた。同案には、ウクライナのNATO非加盟要求が含まれている。
12月30日には米露首脳電話会談が開催され、その後1月2日には米宇首脳電話会談が行われた。
1月4〜6日、ボレルEU上級代表がウクライナ東部前線地域を初めて訪問した。
1月9、10日には、ジュネーブにて米露代表者が戦略的安定対話を行った。また、10日には、NATOウクライナ委員会会合も開催された。
12日にはNATOロシア理事会会合が、13日には欧州安全保障協力機構(OSCE)常設理事会会合が開催され、西側諸国とロシアが協議を続けたが、両者の間の決定的な見解の隔たりは埋まっていない。
写真:大統領府