EU、ウクライナのEU加盟展望支持の声明を採択 早期加盟は支持されず
リトアニアのナウセーダ大統領は、今回の決定につき、「ベルサイユの歴史的夜だ。5時間の熱い議論の後、EUの首脳たちは、ウクライナの欧州統合を肯定したのだ。プロセスは始まった。今後は、私たちのウクライナの人々がそれを早く達成することにかかっている。歴史的なウクライナ・ネイションは、彼らがEUで歓迎されていることを知るに値する」と書き込んだ。
AP通信は、10日のEU首脳の決定につき、EUはウクライナ支持に関して一致し、同国の欧州願望を認めたが、加速的加盟プロセスには合意しなかったと報じた。
報道によれば、ミシェル欧州理事会議長は、「これはウクライナへの財政面、物質面での不変かつ堅固なサポートを示す機会だ。ウクライナが欧州家族の一員であることは明白であり、私たちはウクライナとの繋がりの強化と連帯についてあらゆる努力を支えたい」と強調した。
ウクライナは、EU加盟を通常より早いプロセスでの加盟が認められることを望んでいたが、同時にEU首脳陣は、そのプロセスには何年もかかること、新しい加盟国の受け入れには現行の加盟国によるコンセンサスが必要であることを強調していたという。
マクロン仏大統領は、EUはウクライナサポートに関する強力なシグナルを送るべきであるとしつつ、早期の加盟可能性は除外した。同時にマクロン氏は、「私たちが(ウクライナに対して)扉を閉じて、(EU加盟は)『決してない』と言うべきか? それは不公平だ」と強調した。
ルッテ・オランダ首相もまた、ゼレンシキー宇大統領にEUへの早期加盟は不可能だと述べたとし、「加速ルート、加速手続きなるものはない。私たちはまた、加盟候補国になるためだけに10年以上かけて作業をしてきた西バルカンの国々を考慮しなければならない。アルバニアやマケドニアのことを考えよ。私たちが実践面で何ができるか見てみよう」と発言した。
カリンシュ・ラトビア大統領は、「重要なことはウクライナのためにEUの扉が空いていること、道が開いていること、私たちが民主的国家の家族として、それを望んでいることを示すことだ。それは、非常に重要なシグナルとして、ウクライナ人にとって極めて重要なことなのだ」と発言した。
11日、EUは、今回のベルサイユ首脳会談にて採択された声明を公開した。
声明には、「欧州理事会は、連合協定に言及されているように、ウクライナの欧州願望と欧州選択を認識した。2022年2月28日、ウクライナ大統領は、ウクライナの自らの運命を選ぶ権利を行使して、EU加盟国となるためのウクライナの申請を提出した。理事会は、速やかに行動し、委員会に対して、条約(編集注:欧州連合基本条約)の関連項目に従い、その申請遺書に関する意見を提出するよう招待した。これを留保しつつ、遅滞なく、私たちは今後も、ウクライナをその欧州の道にて支援すべく、私たちの繋がりを強化し、パートナーシップを深めていく。ウクライナは、私たちの欧州家族に属している」と書かれている。
同声明にはまた、2週間前にロシアが欧州に戦争を持ち込んだことを喚起し、ロシアのウクライナに対する侵略が国際法、国連憲章の原則を大規模に侵害し、欧州と世界の安全保障と安定を弱体化させていると記されている。
また、EU首脳は、ロシアの侵略がウクライナの人々への甚大な苦難の原因となったとし、ロシアとその共犯者であるベラルーシが、この侵略戦争に完全な責任を追っており、犯罪者は罰せられるであろうと指摘した。首脳たちは、この観点で、国際刑事裁判所(ICC)の検察がこれら犯罪の捜査を開始する決定を歓迎した。
首脳たちは、自国と自由・民主主義という共通の価値を守るウクライナの人々への勇敢さに敬意を表明し、ウクライナの人々を放っておくことはないと強調し、その上で、様々な支援をウクライナに供与し続けると表明した。また、ロシアの侵略が克服できた後でのウクライナの復興への支援、ロシアとベラルーシへの圧力の強化への準備が示され、「私たちは、決定的な制裁をすでに採択しており、更なる新しい制裁へと迅速に進む準備がある」と書かれている。
首脳たちはまた、欧州委員会に対して、ジョージアとモルドバが送付した、両国のEU加盟申請を審議するよう指示を出した。