キーウにてソ連によるクリミア・タタール人追放被害者追悼行事が開催
ウクルインフォルムの記者が伝えた。
クリミア・タタール民族代表機関「メジュリス」代表であるレファト・チュバロフ最高会議議員は、同追放の犠牲者追悼の重要性について、「最高会議(国会)の決定により、毎年5月18日は『クリミア・タタール民族虐殺犠牲者追悼の日』と定められている。最高会議は、決議により、この追放という犯罪をソ連政権の行った虐殺と認めたのである。今年は、キーウにて、複数の行事が行われる。追悼自体が重要なだけではなく、ホロドモール、ホロコースト、クリミア・タタール人追放といった類似の悲劇が将来起こらないようにするためにもこのような行事は必要なのである」と発言した。
また、チュバロフ代表は、5月18日、活動家やクリミア・タタール人コミュニティは、追放犠牲者追悼の他に、ロシア占領者の犠牲者への追悼も予定していると述べた。
ムスタファ・ジェミレフ同民族指導者(最高会議議員)は、この追放は、民族の全滅に繋がりかねなかった悲劇的出来事なのだと述べつつ、同時にクリミア・タタール人は当時前例のない大規模な民族運動を起こして、故郷への帰還を実現したことを喚起した。
ジェミレフ氏は、今年は追放から75年という年でであり、ウクライナ以外の国でも関連行事が行われるとし、トルコでは5月21日に追悼行事が開催されることを指摘した。
12日の行事では、クリミアの政治囚の親族を支援するための慈善マーケットが開催され、民族の伝統工芸品の販売などが行われた。被占領下のクリミアでは、ロシア政権により政治的動機で拘束される人々が後を絶たず、それにより約170名の子どもたちが親のいない生活を余儀なくされている。
行事では、追放犠牲者追悼展、クリミア・タタール人政治囚の親族の写真展、クリミア・タタールのシンボルを用いた物品や書籍の販売などが行われた。売り上げは、政治囚の人々の親族に渡される。
また、行事の一環で、クリミア・タタール人歴史家フリナラ・ベキロヴァ氏の書籍「指導者の道 ムスタファ・ジェミレフ」のプレゼンテーションも行われた。
クリミア・タタール人の追放とは、1944年に、ソ連政権がクリミアからクリミア・タタール人全民族をシベリアや中央アジアに追放した出来事を指す。様々な分析により、追放後の数年で、全民族の半数近くが亡くなったとされている。