人気言語系ユーチューバー、ウクライナ語とロシア語の違いを英語で説明
ヨルゲンセン氏の言語問題チャンネル「Langfocus」に動画が掲載されている。
同氏は、ウクライナ語とロシア語がほぼ同じだとする誤ったイメージは、ウクライナでロシア語が幅広く使われていることから生じた可能性があると指摘し、ウクライナ人の多くがこの両言語を理解するが、同時にこれらの言語は多くの違いを有す言語だと説明する。
同氏は、ウクライナには「スルジク」と呼ばれる、二言語の間の違いをすり減らし得る混成言語が広まっていることを指摘している。
その上で、同氏は「しかしながら、確かに両言語の間の線引きがしばしば曖昧になることはあっても、ウクライナ語とロシア語の文語は、否定しようのないほど別物である」と述べる。
ヨルゲンセン氏は、東スラヴ諸語の歴史的起源はキーウ・ルーシ(キエフ大公国)時代の言語であるが、その後の歴史で、ロシア語にはモンゴルの影響が、ウクライナ語とベラルーシ語にはリトアニア大公国の影響が及んでおり、それによってこれらの言語は異なる発展を遂げたのだと説明する。
同氏は、語彙を見ると違いがわかるという。「語彙を見てみよう。ロシア語とウクライナ語と語彙面での同一性は62%である。個人的には、この割合の小ささには驚かされる。なぜなら、ウクライナ語は、ポーランド語、スロバキア語、ベラルーシ語の方が、ロシア語よりも語彙面での同一性が高いからだ」と指摘し、具体的に、ウクライナ語とポーランド語の間での語源を同じくする語彙の割合は70%、スロバキア語とは66%、ベラルーシ語とは84%なのだと説明している。
動画の中で、ヨルゲンセン氏は、ウクライナ語とロシア語の語彙面、音韻面、文法面での同じところと違うところを挙げている。とりわけ、同氏は、語彙の違いや、ロシア語になく、ウクライナ語にはある文法の存在を説明する。
その上で、同氏は、「今日見たように、ロシア語とウクライナ語は、緊密に結びついており、多くの同一性を有するが、同時に、多くの違いもある。それらの違いは、細かいものもあれば、決定的に違うものもあるのだ」とまとめている。
ヨルゲンセン氏は、とりわけ歴史的に語彙面、発音面が異なることから、両言語の話者が会話をした際の理解は部分的なのだと指摘する。同氏は、同時に、ウクライナ人の大半はロシア語を知っていることから、(ウクライナの)ウクライナ語話者はロシア語を理解するが、(ロシアの)ロシア語話者はウクライナ語を理解しない、という「非対称的理解」が生じていると説明している。
ポール・ヨルゲンセン氏は、カナダ出身の言語学者で、日本に暮らしながら、YouTubeで世界の様々な言語についての動画を発表する人気ブロガーである。彼のチャンネルは、78万人のユーザーが登録している。今回のウクライナ語とロシア語の動画は、8月3日に公開されたものだが、すでに26万3000回視聴されている。