ロシアの退役将校、ウクライナとの戦争に反対を表明
ニュースサイト「ラジオ・スヴォボーダ」がイヴァショフ上級大将の発言を報じた。
イヴァショフ氏の呼びかけは1月31日付のものだが、インターネット上で話題となったのは先週になってからだという。
イヴァショフ氏は、「以前はロシア(ソ連)は、いつも、他の手段がなかったり、国家や社会にとって決定的に重要な利益が脅威にさらされた時などに、仕方なく(正義ある)戦争を行っていた」と主張しつつ、しかし現在、ロシアの存在にとって脅威は、国内生活の破壊のみであり、外敵脅威は「現在決定的ではない」との見方を示した。
同氏は、「概して、戦略的安定性が維持されており、核兵器は理想的なコントロール下にあり、北大西洋条約機構(NATO)軍部隊は増強しておらず、脅威的活発性は見られていない」と指摘した。
さらに、同氏は、ウクライナは独立国家として、個別的・集団的自衛権を有していると述べた。
また、同氏は、「ウクライナがロシアにとって友好的な隣国であり続けるためには、ウクライナのためにロシアの国家モデル、政権体制モデルの魅力を示すことが不可欠であることは明白だ」と主張した。
加えて、同氏は、世界の大半の国がクリミアとセヴァストーポリをロシア領として認めていないことを喚起しつつ、「それが、ロシアの外政に力がないこと、内政に魅力が欠けていることを説得力を持って示している」と指摘した。
その上で、同氏は、ロシアがウクライナに対して軍事力を行使することの問題につき、「第一にそれは、ロシアそのものの国家としての存在に疑義を呈するものだ。第二に、それはロシア人とウクライナ人を永遠に『死の敵』としてしまう」と主張した。また、トルコをはじめとするNATO加盟国の紛争参加のおそれもあると指摘した。
そして同氏は、「さらに、ロシアは、間違いなく、平和と国際安全保障に脅威をもたらす国というカテゴリーに入れられ、重い制裁が科され、国際社会からの追放者となり、独立国家としての地位を剥奪される可能性もある」との見方を示した。また同氏は、ロシアは国内の問題から国民の注意を逸らすために「戦争の狭間の緊張を煽っている」と確信していると発言した。
同氏は、プーチン露大統領に対して、「犯罪的な戦争誘発政策をやめるよう」要求している。
なお、レオニード・イヴァショフ氏は、1996年から2001年にかけて、ロシア国防省国際軍事協力総局局長を務めていた他、国防省内の要職を歴任した人物。同氏は、NATOの1999年の対セルビア作戦に対する否定的かつ厳しい評価を口にすることで社会の人気を集めた。退官後は、メディアにて、ロシア政権やNATO、西側諸国を批判する発言を行っていた。