ウクライナの59%の回答者、汚職対策分野で肯定的な変化を指摘
キーウ国際社会学研究所が2023年9月29日から10月9日にかけてウクライナ全土で実施した世論調査結果を発表した。
キーウ国際社会学研究所は、過去数か月ウクライナでは法執行機関の活動や調査報道を受けて、様々な著しい汚職事例について集中的な議論が行われてきたと指摘している。
そして、「私たちは、回答者に対して、現在の汚職との闘いを巡る状況を彼らがどのように受け止めているかにつき尋ねた。大半のウクライナ人(59%)は、ウクライナには確かに汚職との闘いの試みがあり、肯定的な変化があると考えている。同時に、多くの回答者(34%)は、最近の出来事は『ウクライナの希望なき汚職性質の証左であり、肯定的な変化はない』との回答案を選んだ」と発表されている。
また、研究所は、以前にはこのような設問で質問をしたことがないため、世論の変化について一義的に話すことは難しいと指摘している。同時に、同研究所は、2022〜2023年冬に汚職状態に関する大規模な世論調査を行っており、その際「ウクライナ政権帰還は、汚職との闘いをどれだけ効果的に行っていると思うか」という設問があったことを喚起した。そして、「2018年には、『どちらかといえば効果的』との回答は25%だったが、2022〜2023年冬にはその回答は50%だった。そのため、私たちは、慎重ながらも、現在汚職対策についてのウクライナ人の考えは、全面侵攻が始まる前よりも(また、尊厳革命の前と比較しても)、より楽観的になっていると予想することができる」と説明している。
今回の世論調査の結果によれば、汚職対策の試みに関して、肯定的な変化があるとの回答をした人の数は、西部の方が多く、東部の方が少なくなっている。同時に、東部以外の地域では、現場を肯定的に見る回答者の方が多い。西部では、65%が肯定的な変化があると回答、32%が変化がないと回答。中部では、60%がある、34%がないと回答。南部では、53%がある、40%がないと回答。東部では、45%がある、49%がないと回答した。
今回の世論調査「全ウクライナ世論調査『オムニブス』」は、キーウ国際社会学研究所が2023年9月29日から10月9日にかけてCATI方式で実施したもの。クリミア自治共和国を除くウクライナ全ての地域の住民1010人に対して、ランダム抽出で選ばれた携帯電話の番号をもとに質問したという。対象は、18歳以上の成人のウクライナ国民で、質問の際に、ウクライナ国内に居住している者であり、同時に、2022年2月24日までにウクライナ政権が管理していなかった地域(被占領下のクリミア自治共和国、セヴァストーポリ、ドネツィク・ルハンシク両州一部地域)に居住していた人物は含まれていないという。また、国外滞在中の国民も含まれていないとのこと。
理論的誤差は最大で±3.4%だと書かれている。また研究所は、戦争という条件下では上述の理論的誤差の他に、一定の体系的な偏差が加わるとしつつ、同時に、今回の調査はそれでも高い代表性が維持されており、世論の理想的な分析を可能にするものだとの見方を伝えている。