ウクライナの正教会信者の内約80%が独立ウクライナ正教会信者
キーウ国際社会学研究所が9月20日から10月3日にかけて実施した世論調査の結果を発表した。
発表によれば、独立ウクライナ正教会への帰属の回答は、2021年6月の調査からは増加しているものの、2022年7月の調査からはほとんど変化していない。同時に、モスクワ聖庁系ウクライナ正教会への帰属の回答は、2021年時点から3分の1に減少し、6%となっている。
発表には、「ウクライナ人の最大の割合である70%が、自らを正教徒だとみなしている。その中で最も多い、回答者全体の内の56%が、自らを(編集注:独立)ウクライナ正教会へ帰属しているとみなしている。これは、ウクライナの正教徒全体の81%に相当する。さらに(編集注:回答者全体の)7%が自らを『区別のない』正教徒だとみなしており、6%がモスクワ聖庁のウクライナ正教会に帰属しているとみなしている」と書かれている。
その他、自らを「無神論者」だと回答した者は12%(原注:ただし、「その他」の回答の中には、「不可知論者」や「非信仰者」といった回答もあり、つまり、自らを「無神論者」とみなしたくないが、一定の類似のアイデンティティを選んだ者もいる)、ウクライナ・ギリシャ・カトリック教会信者との回答が7%であり、その他の回答を選んだのは3%未満だった。
また、地域別でも、すべての地域で「(独立)ウクライナ正教会の正教徒」との回答が50%を超えている(西部:50%、中部:63%、南部55%、東部50%)。
同時に、一定の地域差も見られる。「単なる正教徒」との回答は、西部で6%であるのに対して、東部では15%となっている。また、ギリシャ・カトリック教徒との回答は西部では20%だが、その他の地域では1%未満となっている。
また、プロテスタントやその他のキリスト教教会への帰属は、西部、中部、南部では3〜4%なのに対して、東部では11%と比較的高い。
また、無神論者の割合も、地域差が見られる。西部(7%)と東部(11%)に対して、中部(15%)と南部(14%)は比較的高い結果となった。また、研究所は、無神論者の割合は、18〜29歳の回答者の間では20%、30〜69歳の間では10〜11%、70歳以上の間では8%だったと補足した。
キーウ国際社会学研究所は、今回の世論調査を2024年9月20日から10月3日にかけて、CATI方式(computer-assisted telephone interviews)でウクライナの政府管理地域全域の2004名の18歳以上のウクライナ国民を対象に実施。質問の時点で政府管理地域に居住している者が対象で、一時的にウクライナ政府の管理地域外に住んでいる住民は含まれていないが、国内避難民は含まれている。また、2022年2月24日以降に国外に出ている国民も対象となっていない。理論的誤差は最大±2.9%だと書かれている。
また、研究所は、戦争という条件下では上述の理論的誤差の他に、一定の体系的な偏差が加わるとしつつ、同時に、今回の調査はそれでも高い代表性が維持されており、世論の理想的な分析を可能にするものだとの見方を伝えている。