「ウクライナがNATOに加盟することがないことを理解している。理想的な安全保障が必要」=ゼレンシキー大統領

ウクライナのゼレンシキー大統領は15日、ウクライナはNATO加盟国とならないことを理解していると述べ、そのため理想的な安全保障が必要であり、ロシアからの軍事侵略との対立において支援の準備のあるパートナー国との協力を期待していると発言した。

ゼレンシキー大統領がJoint Expeditionary Forceの国々首脳との会談時に発言した

ゼレンシキー氏は、「ウクライナがNATO加盟国でないのは明白だ。私たちはそれを理解している。私たちは何年もの間、オープンドア(政策)について聞いてきたが、しかし、私たちがそこには入れないということも聞いた。それは本当だ。それは認めなければいけない。私は、ウクライナの人々がそのことを理解し始めていること、自分や、私たちを支援しているパートナーたちのことを頼り始めていることを嬉しく思う。ウクライナは現在、NATO条約第5条の発動を求めてはいない。(中略)私たちは、私たちが同盟の中にいないことを理解しており、空を自分で守らなければいけないことを理解している。私は、皆がこのことを聞いて欲しいと思っている。特に、ロシアと国境を接する国々の人が、自分で空を守るということを考えて欲しいと思っている」と強調した。

同氏はまた、ウクライナは、航空機や対空防衛システムを獲得するべく、あらゆることをしていると発言した。

さらに同氏は、「強調する。新しい連携フォーマットと新しい決意が必要だ。私たちが開いているドアに入れないのなら(編集注:NATOに加盟できないのなら)、私たちは、可能なコミュニティと共に協力しなければならない。私たちを助け、守ってくれる国とだ。私たちは、私たちのために機能する個別の理想的な保証を得たい。それはあなたたちのためでもある」と発言した。

加えて同氏は、ロシアのウクライナ侵攻は、ウクライナの安全や世界の安全が根拠としていた全てのものを完全に破壊したと述べ、最強の安全保障同盟と言われるNATOの信頼にも疑問をもたらしたと指摘した。

同氏は、NATO加盟国の中には、ロシアの侵略に「催眠術をかけられたようになり」、ウクライナ上空を封鎖することで第三次世界大戦が始まる可能性を懸念しているとの考えを示した。同氏は、「私たちは、私たちの空は、同盟国の空と同様に守るべきだと話しているのだ。しかし、私たちは、常に『しかし』があることを理解している。もしNATOの東方加盟国が防御を要請したら、その返答はどうなるだろうか? もし仮に、それらの国にロシアのミサイルやロシアの航空機が飛んできたら? ロシアは、私たちのリヴィウ州を攻撃した。NATOの境界線から20キロ地点をミサイルで攻撃したのだ。NATO加盟国の領域は、すでにロシアの無人機が飛んでいる。つまり、第5条が発動するには、同盟が対応することを恐れないこと、第三次世界大戦に関する自己催眠に陥られないことについて、確信がなければならない。現在は、その確信があり得ない」と強調した。

さらに同氏は、ウクライナ政権は、パートナー国に対して、ウクライナが単独で空と人を守れるようになるための手段の提案していると伝えた。

写真:大統領府