被占領下ヘルソンで親ウクライナ集会開催 ロシア軍が音響閃光弾使用 負傷者あり
27日、ロシアによる占領の続くヘルソン市にて、住民たちが偽「住民投票」とロシア占領に反対する親ウクライナ集会を開催した。ロシア軍は、これを解散させようとしたところ、集会参加者の中に負傷者や被拘束者が出ている。
ヘルソンのニュースメディア「橋」やヘルソン市民が集会の様子を伝えた。
動画では、集会参加者が愛国的な歌を歌ったり、「ヘルソンはウクライナだ」とシュプレヒコールをあげたりする姿が映っている。その後、ロシア軍が音響閃光弾か催涙弾を使用したと見られ、人々がヘルソン市中心部の自由広場から逃げ去っている。
集会参加者の一人は、動画の中で「4月27日。人々が集会に向かっていたら、音響閃光ショーが始まった。被占領下ヘルソンはこんな生活だ」と述べている。また人々は、偽「住民投票」に反対を表明し、ヘルソンがウクライナであることを示すために集まったと発言している。
また、フラン・ヘルソン州議会議員は、フェイスブック・アカウントにて、同日のヘルソンでの集会にて複数名が負傷したと伝えた。
フラン氏は、71歳の女性が胸部に火傷を負い、呼吸困難を起こしたとし、また50歳の男性が足を骨折したと伝えた。また、複数の人が呼吸困難となり、また目に異変が出たという者もいるという。
なお、2月24日のロシア軍のウクライナに対する全面的侵略により、現在ウクライナ南部では、ヘルソン州とザポリッジャ州の一部がロシアにより占領されている。占領開始当初は、両州各地で住民による反占領集会が盛んだったが、ロシア軍人よる地方自治体関係者、記者、教師、活動家、聖職者などへの拉致、略奪、拷問などの被害が相次ぎ、次第に反占領集会の頻度は下がっていた。
最近では、4月23日、ヘルソンのウクライナ正教会の聖職者であるセルヒー・チュディノヴィチ氏は、ロシア軍により拘束されていた際に受けていた拷問について報告している。
24日、英国防省は防衛インテリジェンスの報告として、ロシア軍にとって、クリミアとの陸上回廊の確立とウクライナ南部の支配という目標達成における重要な町となっているとの見方を示した。
ウクライナ最高会議(国会)人権問題全権を務めるデニーソヴァ氏は、ロシア占領政権は、4月27日にいわゆる「ヘルソン人民共和国(KhPR)」の創設を宣言するために、偽「住民投票」を急いで実施したがっているようだと指摘していた。他方、27日、現時点でヘルソン州での偽「住民投票」実施は確認されていない。