国連、ロシアの「濾過キャンプ」での多くの人権侵害を記録

イルゼ・ブランズ・ケフリス国連人権担当事務次長補は7日、ロシアが占領したウクライナ領にてウクライナ国民を「選別」する通称「濾過キャンプ」にて多くの人権侵害事例を確認していると発表した。

国連安全保障理事会会合の際に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

ケフリス氏は、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、「ロシア軍代表者と同軍と繋がる武装集団代表者が、民間人に対して自分の家あるいはシェルターを出るよう命じて、その人々を彼らの支配する領域あるいはロシア連邦へと移送するという多くの事例を記録した」と発言した。

同氏はまた、ロシアが両親の世話を失ったウクライナの児童に対してロシア国籍を与えて、ロシアにて養子縁組を行う簡素手続きを施行したことに懸念を表明した。同氏は、ジュネーブ条約第54条により、そのような児童の国籍を含む個人の地位の変更は禁止されていると強調した。

また、同氏は、OHCHRがロシア軍が被占領地に暮らす、あるいは被占領地を通って移動している民間人をいわゆる「濾過(フィルタレーション)」と呼ばれる「安全の確認と個人情報収集のシステム」の対象としていることを確認したと伝えた。

同氏は、「そのプラクティスが多くの人権侵害事例をもたらしている。(中略)私たちのオフィスは、濾過の際に、ロシア軍及び同軍と繋がる武装集団が人々を特別な検査の対象してきたことを確認した。その検査は、しばしば人々を強制的に裸にし、出身、家族の繋がり、政治的見解、個別人物への感情についての詳細な尋問を含む」と報告した。

さらに同氏は、ロシア軍は人々の携帯電話などの個人の持ち物を調べ上げ、個人情報を収集し、写真を撮り、指紋を取っていると伝えた。その際人々はしばしば食べ物、水、衛生用品へのアクセスないまま置かれているという。加えて、同氏は、女性は、そのような「濾過」手続きの際に性的暴行のリスクに晒されていると指摘した。また、ウクライナ軍やウクライナ国家機関への所属が疑われる人物、あるいは、親ウクライナ・反ロシア的思想を有す人物には拷問が行われていると伝えた。さらには、濾過を受けた人々の失踪の事例も確認されているという。

同氏は、濾過の際に拘束された人々は、拷問によってウクライナ政府との協力を白状するように要求されていると伝えた。

また同氏は、OHCHRは、拘束されている人々のところへのアクセスを要求してきたが、ロシア側に受け入れられていないと述べ、ロシアに対して、自身の事務所やその他の独立した国際監視機関への「濾過」の結果拘束された人々の下へのアクセスを提供するよう要請した。