プーチン露大統領、露軍部隊のヘルソン撤退を許可せず=米紙
米ニューヨークタイムズ紙は、ロシア連邦のプーチン大統領が最近、露軍現地指揮官によるウクライナ南部ヘルソン市からの撤退要請を拒否したと報じた。
23日、ニューヨークタイムズ紙が報じた。
報道では、米政権の匿名の関係者発言を参照し、プーチン氏が過去数週間、ウクライナにおける戦争の戦略的計画へと直接参加するようになったと書かれている。そして、そのプーチン氏の決定の一つが、ヘルソン市からの露軍の撤退の拒否なのだという。もしヘルソンから撤退してれば、ロシア軍はドニプロ川を渡って、整然と撤退することができるし、その場合、装備も兵士の命も救うことができていたのだが、他方で、そのような撤退はプーチン氏にとっては戦争における失敗をもう一度公に認める屈辱的な出来事となる上、1か月間でウクライナ側に2度目の大勝利を手渡すことを意味していたと説明されている。
なお、ヘルソンは、ロシア軍が侵攻当初に陥落させたウクライナの最初の主要都市であり、ロシアが2月24日以降に制圧した上で支配している唯一の州都だと指摘されている。ゼレンシキー宇大統領にとっては、この都市の奪還は大きな戦果となるという。
報道では、プーチン氏はどのような代償を払ってでも勝利することにこだわっているとし、ロシア軍がますます混乱する中で、プーチン氏自身が戦争の表舞台に出てきていると指摘されている。その中で、プーチン氏はロシア国民の部分的動員を発表せざるを得なくなったのだという。同紙は、9月、ロシアは攻勢をする上での兵力不足、ハイテク精密機器の不足、制空権を得る能力の欠如を示していると指摘した。
他方で、極秘情報を得た米国政権関係者によれば、プーチン氏は舞台裏で戦争において、戦場での戦略的決定はプーチン氏自身が下すものだと現地司令官に伝えるなど、今次戦争にてより深い役割を担うようになっているという。プーチン氏はロシア民間人の動員のような軍司令部の勧告も受け入れているものの、プーチン氏の関与によって緊張が生み出されているのだという。
同時に、米国関係者によれば、プーチン氏が最近ヘルソンからの露軍撤退を許可しなかったことにより、ロシア軍部隊の士気の低下が引き起こされたのだという。現地部隊は、補給線から切断されており、ウクライナ軍を前に取り残されるかもしれないと考えているようだという。
クレムリンと現地露軍司令部の間の見解相違が示すのは、ウクライナ南部の戦いがロシアにとってもウクライナにとってもいかに重要かを示していると指摘されている。
関係者は、ウクライナは北東部で実現したような勝利を南部でも再現するあらゆるチャンスを有していると見ているという。ウクライナがロシア軍をさらに南に押しやることができれば、ロシアにとっては、2014年に占領したクリミアと、ロシアの間の陸上回廊が脅威に晒されることになると指摘されている。