国連、ロシア軍のウクライナ民間人大量処刑の報告書を公開

7日、国連は、ロシア軍の2月24日の対ウクライナ侵攻開始以降に、数百人のウクライナ市民を処刑した事例を発表した。

国連駐ウクライナ人権監視団のボグナー団長が報告書の発表を行った

監視団が作成した報告書には、ロシア軍が2022年2月24日から4月6日までの期間、ウクライナのキーウ州、チェルニヒウ州、スーミ州の自治体で民間人を殺害した諸事例について詳細が記載されている。

ボグナー氏は、超法規的処刑は戦争犯罪を構成し得ると指摘している。

例えば、3月5日から30日までロシア軍が支配していたキーウ州ブチャでは、監視団は、73名の民間人(内54名男性、16名女性、2名少年、1名少女)の殺害を記録しており、現時点で、さらに105名の殺害容疑に関し、裏付け作業を行っているという。

ボグナー氏は、現地では「単なるテキストメッセージや、迷彩服の一部、あるいは過去の兵役の記録が命取りになり得ていた(編集注:ロシア軍により殺害されるおそれがあった)」と指摘した。

報告書では、国連監視団による、ロシアの侵攻開始から最初の6週間の期間における同3州における441名の暴力的殺害(内341名が男性、72名が女性、20名が少年、8名が少女)事例の記録が記載されている。同時に、報告書作成者たちは、さらに198件の殺害事例の裏付け作業が続いているところであり、実際の殺害件数は記録された数字よりもはるかに多いと強調している。

ボグナー氏は、「民間人は、自治体内あるいは自治体間の道路を移動している際に標的となった。それは戦闘行為からの避難の試みであった場合を含む」と指摘した。

さらに同氏は、「ロシア軍は、民間人を即席の拘束場所に連れて行き、そのあと拘束したまま処刑していた。多くの犠牲者の遺体は、手を後ろに縛られ、頭に銃弾を受けた状態で見つかっている」と報告している。

また、処刑の大半が男性であったという(処刑件数の88%)。

同時に報告書では、罪人の責任追及には、まだ多くの努力を費やさねばならないと書かれている。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、ロシア政権がこのような事例を捜査しているという情報は一切見かけていないと伝えた。

同報告書の全文へは、以下URLからアクセスできる(PDF、36ページ、英語)。

https://www.ohchr.org/sites/default/files/2022-12/2022-12-07-OHCHR-Thematic-Report-Killings-EN.pdf