ホッジス元米軍高官、来年夏の終わりまでのウクライナによるクリミア解放を予想
ホッジス元米国駐欧州陸軍司令官は、クリミア解放はウクライナにとって将来の安全保障の主要な構成要素の1つであるとし、ロシアが兵站を著しく損ねていることから、解放は来年の8月末までに実現するだろうとの予想を示した。
29日、ホッジス氏が発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。
ホッジス氏は、「私がウクライナは8月末までにクリミアを解放できると確信していることの理由は、物質・技術面の補給にある」と述べた。その際同氏は、ロシアからクリミアへは陸路は2本しかないこと、その内1本目はクリミア橋(ケルチ橋)を通じたもので、すでに損傷しており、近くさらに攻撃を受ける可能性があるものであり、2本目はロストフ(ロシア)〜マリウポリ〜メリトポリを通じてクリミアへと向かう陸路であるが、ウクライナはもうメリトポリを高機動ロケットシステム「ハイマース」で射程に入れていると指摘した。
加えて同氏は、「つまり、クリミアへの補給のために必要などちらの陸路もすでに侵害されているのであり、私は、今後2か月で彼らはどんどん新たな問題を抱えていくことになると思っている」と発言した。
同時に同氏は、ロシアから軍事拠点としてクリミアを利用する機会を奪うことは今でも可能だとし、そのためには米国や西側諸国が長射程ミサイルの提供を始めなければならないと強調した。
同氏は、「オデーサからセヴァストーポリまではぴったり300キロメートルだ。つまり、もしウクライナがエイタクムス(ATACMS)(編集注:ハイマースなどから発射できる射程300キロメートルのミサイル)を今持っていたら、彼らはクリミアをロシア軍、セヴァストーポリのロシア艦隊にとって使い物にならなくすることができるのだ」と指摘した。
さらに同氏は、米政権がエイタクムスをウクライナに提供していないことについて「保険をかけ過ぎだ」と形容した。同氏は、ウクライナに携行式対戦車ミサイル「ジャベリン」をウクライナに提供するか否かという議論が始まった時から、そのような「自制」が生じていると指摘し、その後は携帯式防空ミサイル「スティンガー」を巡る議論となり、現在米国はようやく防空システム「パトリオット」の提供を決めたと発言した。同氏は、他方で、ロシアはその間軍事的エスカレーションを行ったことは一度もないとし、ロシアにはそれに対応する手段がないのだと指摘した。
そして同氏は、「ウクライナ人が自らの無人水上艇を発進させた時のロシア人の反応を見てみよ。何が起きただろうか? 彼らは潜水艦隊を別の場所へ移動させたのだ」と喚起した。
同氏は、その点から、もしウクライナがクリミアの重要軍事施設に対してエイタクムスなり類似の高精度長射程の武器を定期的に使用した場合に、たかが知れているとの見方を示した。
なお、ウクライナのクレーバ外相は、来年、戦況次第ではウクライナは射程300キロメートルのミサイル「エイタクムス」や現代的無人機を受け取れるだろうと発言している。