「私たちに諦める権利はない」=ゼレンシキー宇大統領、前線の状況は「膠着」ではないと発言

ウクライナのゼレンシキー大統領は4日、前線の状況は膠着状態ではないと述べ、また「私たちに諦める権利はない」と強調した。

ゼレンシキー大統領がキーウを訪れたフォンデアライエン欧州委員会委員長との共同記者会見時に、記者からザルジュニー宇軍総司令官のインタビュー記事への見解を求められて発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。

ゼレンシキー氏は、「(2022年2月)24日に皆が私たちに、どれだけの(編集注:日数が)私たちに残されていると述べたか覚えているだろう。そして、全ての首脳が私たちと話したわけではない。『少し待たねばならない、そこの問題は解決される、国全土が制圧されるのだから』と。そして、あれやこれやのシグナルや条件などが出された。全て明け渡すべきだとか、人を変えるべきだとか、ロシアを認めるべきだとか、欧州を忘れるべきだとか、北大西洋条約機構(NATO)のことは考えるべきでないとか、『ウクライナとは何だ、そんな国はない』とかだ。私は、過去数年間、このような声をたくさん聞いてきた。そして、私は、自分たちにつき完全な自信を抱いている。私たちは、困難な状況を過ごしてきた。おそらくウクライナが独立を回復してから、そのような状況は経験したことがなかった。しかし、私たちは、信じて、戦い、勝利した。今、時間が経過した。人々は疲れている。皆が疲れており、様々な意見が出てきている。皆、どんな地位にあろうと、人なのだ。それは当然のことだ。そこにおかしなことはない。しかし、それは膠着状況ではない。私はもう一度それを強調する。私たちは、そのことについてもう話してきた。それは何らかのニュースではない」と強調した。

同時に同氏は、ロシアが空を支配していると指摘した。同氏は、「攻勢を行っている場所では、それははっきりしている。私たちが軍人を守るとぴうことは、私たちの若い男女を守ることである。彼ら(ロシア)が空を支配している時、ロシアが行っているように、人々を肉の塊かのように放り投げることは、誰も望まない(編集注:ウクライナに前線の航空優勢がないことで、反転攻勢が困難であることを示した比喩)。それを克服するのは、F16だ」と発言した。

同氏は、F16に関する決定はすでにあるが、しかしウクライナの操縦士が訓練を受けて戻ってくるのを待たねばならないことを喚起した。

そして同氏は、「長いプロセスだ。手っ取り早い解決策はあるし、それは宇宙的なもの、技術的なものではない…。私たちは試してみたのだ。前線に防空があると、軍人は前に進み、走り、進み、装備品を利用する、他の反転行動も進むということを、誰もがはっきりと理解している。私たちは、1年前も今と同じく、非常に困難な状況下にあった。膠着状態だと誰もが述べていた。それだけだ。誰もが忘れてしまったのだ。いくつかの確信的な策略、戦術、軍事作戦。覚えているだろう。ハルキウ州が解放された。ヘルソンで何が起きたかも覚えているだろう」と発言した。

同氏は、状況に関しては様々な意見があるとしつつ、「私たちは諦めることを考えることの権利すらない」との見方を示した。

その上で同氏は、「それらの考えの代替案は何であろうか? 私たちは、どのような代替があるのかを考えるべきだ。そう、私たちは人を維持しなければならない。しかし、その代替は何だ? その時、私たちの国の3分の1を明け渡さねばならなくなる。そして、それは始まりに過ぎないのだ。彼(プーチン)は、それで終わらない。私たちは、凍結された紛争というのがどのようなものか知っているだろう。私たちは、自分のための結論を出している。私たちは何のために、あれやこれやの考えやフォーマットに戻っているのだろうか? 皆が集まって、問題を解決して、防空に関してパートナーと作業し、空を封鎖し、私たちの若者たちに攻勢、然るべき攻勢をできる機会を与えるべきなのだ。それについてこそ考えねばならない。それについてだけを」と強調した。

これに先立ち、ウクライナのザルジュニー軍総司令官が英エコノミスト誌へのインタビュー記事にて、ウクライナは自分より遥かに強い敵を止めることができたが、現在戦争は新しい段階に入っていると発言していた。