「ミンスク諸合意は罠だった。ロシアはそれにより全面戦争に向けて準備した」=ゼレンシキー宇大統領

ウクライナのゼレンシキー大統領は6日、2014年と2015年に署名された「ミンスク諸合意」は凍結された紛争を作り出し、それにより侵略国ロシアは全面戦争への準備をすることができたとし、だからこそ同諸合意に戻るわけにはいかないと発言した。

ゼレンシキー大統領がイタリアで開催された第50回国際フォーラム「アンブロゼッティ」へ出席した際に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた

ゼレンシキー氏は、「『ミンスク』(編集注:ミンスク諸合意)は罠だった。そして、残念ながら、欧州の一部がそのロシアの罠を支持してしまった。『ミンスク』は、あり得る中の最悪のものであり、絶対にそれに戻るわけにはいかない。それは凍結された紛争だ。それは停止であり、侵略国であるロシアに準備の機会を与えてしまい、ロシアは準備したのだ」と強調した。

同氏はまた、ミンスク諸合意の効力の期間、ウクライナは、投資家を含めた皆にとって「グレーゾーン」だったと指摘した。そして同氏は、「たとえウクライナに肥沃な大地があるとはいっても、どんな投資家がウクライナへと資金を投入するというのだ? そんな人はいない。なぜなら、ウクライナには何が起こるかわからないからであり、なぜなら、欧州、世界の支援が100%ではないからであり、ロシアとどうなるか100%の理解がなかったからである」と発言した。

加えて同氏は、ロシアは凍結された紛争を作り出しておいて、同時に自国の産業を発展させ、ウクライナが独自の道を選択した場合の全面侵攻に備えていたと指摘した。

その上で同氏は、「だからこそ『ミンスク』は本当の安全の保証とは比較してはいけないのだ。なぜなら、『ミンスク』は凍結された紛争だからだ。それは誰にとっても履行が難しいものだった。私は(履行を)試みた。私は、大統領として行うべきことを試みた。私は、ノルマンディ・フォーマット(編集注:の4首脳会合への参加)へも向かった。それは、ドイツ、フランス、ロシア、ウクライナの(首脳)会合だった。私は、彼(編集注:プーチン)とも話した。私たちは彼と、停戦を行うことで合意した。現在多くの人が停戦について話している。私は、プーチンの複数回の停戦を経験した。私たちは合意したが、しばらくすると彼らはコンタクト・ラインで私たちを殺し始めたのだ。私は彼に電話し、『私たちは停戦について合意したはずだ』と言った。彼は、『ええ、私たちは今修正する』と返事した。しかし、またしばらくすると、彼らは再び私たちを殺し始めるのだ。彼らは準備していたのだ。そのため、いかなる紛争の凍結もあってはならない」と強調した。

なお、2022年2月22日、ロシアの首脳プーチン氏は、全面侵攻を始める前に、ロシアは「DPR/LPR」の独立を承認したのだから、ミンスク諸合意はもはや存在しないと発言していた。

写真:ウクライナ大統領府