前線を大きく突破するのは2027年までは不可能だろう=ザルジュニー駐英ウクライナ大使

ウクライナ軍前総司令官であるザルジュニー駐英ウクライナ大使は、現在の技術的・進化的プロセスは2027年に完了する予定であり、それまではウクライナ側の戦力が前線を深く突破することは不可能だろうとの見方を示した。

ザルジュニー駐英大使がニュースサイト「ウクラインシカ・プラウダ」へのインタビュー時に発言した

ザルジュニー氏は、「攻勢をかける側は、作戦課題の遂行能力を失っていく。その課題とは何か? それは、ソ連の基準で定められた深さ150〜200キロメートルの前進である。戦場でロボットが大量に出現するようになり、彼らは戦場での兵士の移動が不可能になった。ロボットと戦えないことが、茫然自失状態を生み出した。私たちはロシア人の側に進めなかったし、ロシア人も同様に前進できなかった」と発言した。

また同氏は、その傾向は今も続いているとし、「なぜなら、例えば、ロシア人が1週間で150〜200キロメートル突破するような課題遂行の機会は見当たらないからだ」と指摘した。

そして同氏は、「私の理論では、その技術的・進化的プロセスが完了し、その後技術的な物質が蓄積されれば、突破のための機会は回復する。私の試算では、それはおよそ2027年以降のことになる可能性がある」としつつ、しかし、経済状況や人口動態を考えると、それが2027年になるのも、誰かがそのような規模の戦争の遂行を主張するようになるのも、まだ確実なことではないと発言した。

また同氏は、おそらく、ロシアは、ウクライナにおいて現在経済と士気の状態の破綻をもたらす、現在のいわゆる「消耗」戦術を実施していくだろうと指摘した。

そして同氏は、「私たちは今、戦場で敵の深い突破がないことを目にしているが、陣地から私たちが少しずつ押し出されているのを見ている。彼らはそれを極めて多大な損耗によって実現している。また、私たちの経済、民間施設に対する攻撃課題も実施されている。これには、ミサイル迎撃手段が私たちの民間施設を与えるように、彼らのミサイルが飛翔するよう計画することも含まれる」と発言した。

その他同氏は、ロシア人は、ウクライナの動員を破綻させることを目的とした情報キャンペーンも始めていると伝えた。その際同氏は、「そこには、ウクライナ人の戦争への態度を変えることを目的とした認知行動も含まれる。その結果として、私たちは、最前線にいる人員に問題を抱えている。そのさらなる結果として、私たちが陣地を徐々に失う状況がもたらされているのだ」と発言した。

同時に同氏は、ロシア人は現在、戦線を拡大するために深く侵入する準備はできていないとし、そのためには多大なリソースが必要となるが、それはロシアにもはや残っていないとの見方を示した。

これに先立ち、ザルジュニー駐英ウクライナ大使は、ロシアの同盟国が対ウクライナ戦争に直接関与したことを受けて、第三次世界大戦は始まったとみなすことができるとの見方を示していた