ウクライナ東部の停戦違反件数、今年に入り最多=OSCE特別代表
ウクライナ東部紛争圏にて過去2週間確認された停戦違反件数は、今年に入ってから最多となっており、前観測期間の3倍となっている。
14日、ウクライナ、ロシア、欧州安全保障協力機構(OSCE)からなり、ウクライナ・ロシア紛争解決を協議する三者コンタクト・グループ(TCG)のハイディ・グラウOSCE特別代表が同日のTCGビデオ会合後に声明を発出した。
グラウ特別代表は、今会合が停戦違反件数増加を背景に開催されたことを喚起し、「OSCEウクライナ特別監視団(SMM)のデータでは、過去2週間に確認された違反件数は、今年の最高水準に達し、前回同期間と比べて3倍となっている。これは、私たちの活動にも否定的な影響を及ぼしている」と発言した。
グラウ氏は、過去2週間、OSCE・SMMの移動とマンデート履行に対する制限・妨害の事例が著しく増えていると指摘した。特に、SMMの長距離無人機(ドローン)の飛行10回中9回にジャミングを受けたことを報告した。
グラウ氏はまた、停戦への即応調整メカニズムに関する議論は、TCGの治安問題作業部会の今後の会合で継続されると述べつつ、同時に「しかしながら、そのメカニズムの効果的な立ち上げは、コンタクト・ラインの双方において、停戦件数の著しい低減に向けた政治意志が存在する場合においてのみ効果的となることは指摘しなければならない」と強調した。
同氏は、TCG4つの作業部会の内、政治問題作業部会の会合では、手続き問題がまたしても先行し、TCG本会の支持を受け、ミンスク諸合意に完全に合致する行動計画の作成を前進させる上での障害となったと伝えた。
人道問題作業部会では、ルハンシク州のゾロテーとシチャースチャ近くの新しい通過検問地点の双方(政府管理地域と被占領地域)同時開通に向けた障害除去に注意が向けられたと発表された。同氏は、同作業部会ではまた、紛争関係被拘束者の相互解放・交換に関連する問題が議論されたと伝えた。
同氏は、経済問題作業部会では、ウクライナ領ドネツィク・ルハンシク両州一部地域(CADLO、被占領地域)に暮らす移動の困難な国民への年金支払い確保の問題、衝突ラインをまたがる水の供給、環境問題、CADLOにおける携帯通信確保問題が審議されたと伝えた。
次回のTCG会合は、4月28日に予定されているとのこと。