遺体相互返還、ロシア武装集団側が応じず ウクライナ側のみ引き渡し
23日、三者コンタクト・グループ(TCG)ウクライナ側は、ウクライナ東部の武力紛争の際に亡くなった人物の遺体を被占領地側にいる母親の元に引き渡した。
TCGウクライナ代表団がテレグラム・チャンネルにて伝えた。
発表には、「23日、良心のイニシアティブとTCG人道問題作業部会の活動の一環として、ウクライナ側は、紛争にて亡くなった人物、2014年6月にドネツィク州スロヴヤンシク市で行方不明になっていたアナトリー・ミャルキン氏の遺体を引き渡した」と書かれている。
遺体は、母親に渡されたとのこと。
ウクライナ側は、TCG人道問題作業部会のシャルロッティ・レランダー(OSCE)調整官に謝意を伝えた。
また、本件につき、TCGウクライナ代表団に加わるセルヒー・ハルマシュ氏は、フェイスブック・アカウントにて、ウクライナ側がロシア側に対しても、亡くなった兵の遺体を引き渡すように要請したが、拒否されたことを明かした。
ハルマシュ氏は、「あちら側(編集注:ロシア武装集団)は、TCGにて私たちに、遺体の引き渡しを要請してきた。なぜなら、亡くなった人物の母親が末期の腫瘍を抱えており、息子を埋葬してから死にたいと願っているからだ。私たちにとって、母親の苦しみは、どのサイドにいようと同じである。そこで、私たちは、本件の作業をすることを約束し、代わりに、こちら側(編集注:ウクライナ政府管理地域)で暮らす別の母親の別の息子の遺体を引き渡すよう要請した」と伝えた。
同氏は、しかしながら、数日後、ロシア武装集団は同要請を拒否する返答を返したと説明した。ウクライナ側は、それを受けてなお、遺体の一方的返還を決定したという。
同氏は、「選択肢はあった。彼らと同じように行動し、遺体を引き渡さないか、あるいは、母親に息子の遺体を引き渡し、平穏な眠りについてもらうかだ。私たちは、引き渡した。私は、生きている人間だけでなく、遺体まで人質とする、占領地の非人間的な者たちと同じになってはいけないし、同じことはしない」と書き込んだ。
同時に同氏は、ロシア武装集団側に引き渡しを断れた遺体の人物の名前は明かさなかった。