ロシアによる対ウクライナ大規模激化の準備が整うのは1月末の可能性大=レズニコウ宇国防省
ウクライナのオレクシー・レズニコウ国防相は、情報機関はロシア連邦によるあり得る大規模激化シナリオを分析しているとし、ロシア側の激化を行う準備が整う可能性が最も大きいのは来年1月末だと発言した。また、現在のウクライナ周辺(ロシア領と被占領地)のロシア軍の兵力は計9万4300人だと報告した。
3日、レズニコウ国防相がウクライナ最高会議(国会)における議員から閣僚への質疑応答の際に発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
レズニコウ氏は、「私たちの情報機関は、最悪のものを含め、全てのシナリオを分析している。情報機関は、ロシアからの大規模激化の蓋然性はあると指摘している。激化の準備が整う蓋然性が最も高いのは、1月末となる」と発言した。
同時に同氏は、大規模激化というのは可能性あるシナリオの話であり、それが必ず生じるというものではないとも説明し、現在の主な課題は、そのシナリオを起こさないようにすることだと指摘した。同氏は、「私たちが、単独でも、パートナーとでも、ともあれより良く仕事をすればするほど、激化の脅威は小さくなる。あり得る激化の代償を侵略国にとって受け入れられない程度に高めるのが、その手段である。ウクライナは、政治・外交的情勢解決手段に最も関心を持っている。私たち側からは、どのような武力的挑発も原則的にあり得ない。同時に、『侵略国の講和』(編集注:侵略国への妥協)という手段は検討されていない。必要となれば、ウクライナは反撃する」と発言した。
同氏は、ウクライナ側のロシア連邦の準備状況に関する見方は、パートナー国の評価と一致しているとし、国際パートナーがロシア連邦の侵略と脅威に対して注目していることによって、共通の対応の形成が可能となっていると説明した。
さらにレズニコウ氏は、ロシアは過去1年間、独特な戦術を実行してきたとし、具体的には、ウクライナ国境沿いにロシア軍部隊を集中させ、その後、集結させた機材は残したままで、人員のみ常駐地点へ戻していたことを喚起し、それによって次回以降の部隊展開の時間を短縮することを可能にしていたと指摘した。
同氏は、「今年4月と9月、ロシアは、私たちの国境に50個以上の大隊戦術群(BTG)を集結させた。現在、ウクライナ周辺と一時的被占領下クリミアでは、41個のBTGが常に準備のできた状態にある。その内、33個が常駐であり、8個が追加的にクリミアに投入された。ロシア連邦領と一時的被占領地における、激化に参加し得る部隊の総数は、現時点で、9万4300人と評価されている」と報告した。
さらに同氏は、現在敵国では冬季の軍事演習期間が始まっており、ウクライナ周辺で軍事演習が開始され、情報機関の活動が活発化し、通信網が確認され、隠蔽方策が取られていると発言した。同氏は、先週は、露のブリャンスク州とスモレンスク州にて戦車と装甲車による部隊強化が行われたと伝えた。さらに、同氏は、バルト海艦隊の大型揚陸艇2隻が地中海から黒海に入れば、地域のその総数は計9隻となるとも発言した。
同時に同氏は、このようなロシア軍の展開はウクライナだけでなく全世界が監視しているのであり、サプライズは一切起きないとも発言した。
レズニコウ氏は、ロシアによる大規模激化のリスクへの評価は、ウクライナとパートナー国の間で一致しているとし、「評価は皆と一致している。しかし、私は国防相として、パニックを拡散する権利を持たない。ウクライナ軍総司令官もそうだ。そのため、私は、皆に対して、落ち着いて均衡を保つよう要請する。私たちは、撃退の準備ができている」と発言した。
同氏は、パニックが生じれば、心理的に負けることになるとし、「私たちは、不屈の民族であり、私たちは不屈の軍を有している。恍惚状態になる必要はなければ、パニック状態になる必要もない。私たちは皆、リスクを測っている」と強調した。
その他同氏は、自身は西側のパートナー国の国防相と非常に多くの協議を行ったとし、それらの国の国防相たちは、侵略国に対する彼らの対応は非常に厳しいものとなると明言したと伝え、「私たちの間には、彼らがそれを事後ではなく、事前に行うことで合意している。クレムリンにも、そのことはかなりはっきりと伝えられている」と発言した。
なお、現在、ウクライナ国境沿いとロシアによる占領地にてロシア連邦の軍部隊の集結が確認されている。同時に、ウクライナ東部の前線では、ロシア占領軍による停戦違反件数が増加し、ウクライナ軍人の死傷者数も増えている。並行して、ロシア連邦は、「ウクライナこそが進攻作戦を計画している」などとするプロパガンダ・偽情報を活発化させている。