「地獄へようこそ」 ウクライナの国防相・軍総司令官、軍の抵抗準備を強調

ウクライナのレズニコウ国防相とザルジュニー軍総司令官は、ウクライナ軍は侵略者に抵抗する準備が完全にできており、2014年の再来も、いかなる町の陥落も起こらないと強調した。

12日、ウクライナ国防省広報室がレズニコウ国防相とザルジュニー軍総司令官の声明を公開した

声明にて、レズニコウ国防相は、「2014年、『兄』が図々しく背中にナイフを突き刺してきた時、軍と志願兵は耐え抜いた。その時、多くの人が、昨日まで一つのテーブルに座っていた者に抵抗するための心理的な準備がなかった。今は、状況が全く違う。クレムリンは、そのことをよくわかっているし、それは重要な抑止の要素である。今日、私たちは、ウクライナで過去15年で最強の軍、欧州最強の軍を有しており、私たちの部隊を率いるのは、戦闘経験のある将軍・将校である。イロヴァイシク(編集注:2014年8月の大きな敗戦)、デバリツェヴェ(編集注:2015年2月の大きな敗戦)は、心に傷跡を残したはしたが、しかし、それが意志を強固にしたのである。英雄的なドネツィク・ルハンシク両空港の防衛戦、スタニツャ・ルハンシカからシローキネまでの毎日の何十の自治体の防衛が、戦闘心を不屈のものへと変えたのである。私たちの戦士の目を一度でも見たことがある者なら誰でも、2014年は繰り返されない、キーウ(キエフ)も、オデーサも、ハルキウも、どんな町も、侵略者が奪うことはできないと確信するだろう。ウクライナ軍に抵抗の準備が完全にあること、ウクライナの大地を明け渡さないことを疑ってはならない!」と強調した。

ザルジュニー軍総司令官は、「42万のウクライナの戦士たち、全ての指揮官たちは、すでに死を目にしてきた。各軍種、部隊の司令官、指揮官は、専門家であり愛国者である。私たちは、ウクライナの大地を一片たりとも渡さない!」と発言した。

レズニコウ氏はまた、現在ウクライナは、パートナー国からかつてないほどのサポートを受け取っているとし、それによりウクライナ軍の防衛能力が高まったと指摘した。同氏は、過去1か月で約2000トンの最新兵器、弾薬、防護装備を受け取り、ウクライナ軍人が訓練を受けたと伝えた。同氏は、過去数十年間、民主主義世界がこれほど団結したことはなかったと述べた。また、現在多くの国がロシアの行動の危険を認識し、感情的に心配しているが、ウクライナはそれを8年間体験してきているのだと強調した。

同氏は、「誰も、クレムリンのトップの頭の中を覗いて、具体的にどんな行動があり得るかを確信を持って述べることはできない。しかし、私たちは、全ての情勢展開のシナリオを分析したのであり、それへの準備はできている。現在、非常に多くの発言が聞かれ、モスクワからは、ウクライナにはロシアを攻撃する計画があるという話すら聞かれる。馬鹿げた話だ。私たちは、誰にも侵攻しない。しかし、防衛力を強化し、エスカレーションの可能性を排除すべく、あらゆることを行っている。私たちは、政治・外交的手段で前進することを計画している。もっと述べようか。私たちは、外交的で平和的な手段にて、ドネツィク州、ルハンシク州、クリミアとセヴァストーポリを家へと帰らせる! そのような手段によって、私たちは今日、信じがたい政治的・軍事技術的支援をパートナーから受け取っているのであり、その手段のおかげで、クレムリンはあつかましいアゾフ海封鎖を解除したのだ。私たちは、そのような手段に頼ることで、黒海の封鎖解除を要求していく。強い軍を毎日構築している」と発言した。

ザルジュニー総司令官は、「明言する。ウクライナ軍は、抵抗の準備ができている。私たちは、訓練を行っており、今後も行う。すでに今、私たちの国の全土の訓練場で、指揮・司令訓練『吹雪2022』の実践段階が行われている。私たちは、恒常的に自らの防衛能力、部隊間調整、軍の技術を高めている。私たちは、戦闘秩序を作り上げ、短期間で領域防衛部隊を展開し、彼らに対戦車ミサイルシステムと携帯式防空システムを装備させ、領域防衛部隊の人員訓練のために対戦車ミサイルシステム『コルサル』と『ストゥフナP』の指導官を育成することができた。私たちは、キーウの防衛を強化している。私たちは、戦争をくぐり抜け、然るべき準備を行った。それゆえ、私たちには、敵を迎える用意がある。花束でではなく、スティンガー、ジャベリン、NLAWでだ。地獄へようこそ!」と強調した。

レズニコウ国防相はまた、現在は、平穏を保ち、ウクライナ軍や外交官を応援しなければならないとし、「平穏こそが、今の主要な武器だ。それが、防衛にとっての理想的な基盤を確保する。普通の生活を少し、働くこと。それが当たり前の経済活動を確保し、ウクライナ軍が然るべく国家を守るための機会を保障することになる。できるレベルで平穏を維持し、私たちがともに強くなるために、できることを行って欲しい」と総括した。