「ウクライナの安全保証」の問題に具体的な結果はまだない=ゼレンシキー宇大統領

ウクライナのゼレンシキー大統領は、ウクライナの安全保証問題はまだ具体的結果はなく、現在考えを発展させている段階だと発言した。

ゼレンシキー大統領がウクライナの複数報道機関に対するインタビュー時に発言した

ゼレンシキー氏は、「今のところ、(編集注:ウクライナの保証国となる準備があると表明している国の)全ての顧問との会談は実現していない。つまり、私たちは皆と会いたいが、しかし今のところその会合はまだない。私たちは、近々その会合が開催できるのを待っている」と発言した。

同氏はまた、その会合の後にはじめて「私たちは、非軍事ブロック化を想定する『ウクライナの安全』という名の最初の事例(編集注:の議論)を継続することができる」と発言した。

さらに同氏は、安全の問題はフランス、米国、ドイツ、トルコ、英国、ポーランド、イタリア、イスラエル、アイルランドといった国々と協議していると述べた。同氏は、「これらの様々な国全てが様々なことを保証する準備がある。しかし、今のところウクライナは、具体的な保証と、私たちに100%コミットする準備のある国のリストは受け取っていない。私たちには、チームとして合意に従って、参加してウクライナのために戦う世界中の40の国というのは必要ない。それは必要ない。必要なのは、あらゆることへの準備のある真剣なプレイヤーだ。私たちには、24時間以内にあらゆる武器を提供する準備のある国の一団が必要だ。私たちには、制裁政策を真に左右する個別の国が必要だ。その制裁が、開発され、書き込まれるようにだ。制裁が、ロシアからの脅威を耳にした最初の1秒目、1日目、あるいは2、3日以内に、瞬時に発動されるようにだ。ブロックしてしまうためだ。そういう国を瓶に閉じ込めてしまうためだ」と発言した。同時にゼレンシキー氏は、現時点では具体的な結果は少ないと述べた。

同氏はまた、黒海に関してはトルコが保証国に入るべきだとし、トルコは保証国になる準備があることは認めたが、署名はまだないと指摘した。同氏は、「エルドアンの署名はまだ見ていない。顧問の署名も見ていない。共通理解もまだ誰も耳にしていない。皆がその保証に関してウクライナに対して肯定的に向き合っているが、それでは少なすぎる」と発言した。

加えて同氏は、安全の保証は必要だが、同時に、たとえどんなに強力な合意に署名が行われたとしても、ロシアは2年以内に戻ってくる可能性があると発言した。同氏は、「私たちの国家を守る能力を有す軍が存在しなければならない。私たちには主張があり、その主張は総司令官と共通のものであり、私たちは何を行っているか理解している。私たちは、たとえ最も強力な合意に署名したところで、ロシアは2年後に戻ってくるかもしれない(編集注:再び侵攻してくるかもしれない)ことを理解している。私たちはそれを受け入れており、それに基づいて行動している」と発言した。同時に同氏は、「私たちに安全の保証は必要だ。多くの詳細があり、私はそれについて話したくない。なぜなら、まだそこまで距離があるからだ」と発言した。

ゼレンシキー氏は、北大西洋条約機構(NATO)について、ウクライナは明日にでもNATOに加盟する準備はあると発言した。同氏は、「私は、NATO事務総長にも、ウクライナの(NATO)加盟が直接的に左右される国の首脳にもそう話した。私たちは、多くの人、多くの命を捧げた。(中略)もし明日、私たちがNATO加盟を提案されるなら、私たちの命をまたもやもてあそぶのではなく、加盟を提案されるのなら、その時は私たちは加盟する。しかし、そうは残念ながらならないのだ。そのため、私たちは、私たちを守ることのできる、私たちのための安全の保証を構築していく」として指摘した。

これに先立ち、3月29日、トルコのイスタンブルにて、ウクライナとロシアの和平協議が開催された。ウクライナは、同国の安全を保証する国際合意へ国連安保理常任理事国などの国々が署名し、合意が各国国会で批准されることや、15年間のクリミア問題の協議実施を提案している。

協議後、ウクライナ代表団の一人のアラハミヤ最高会議議員は、安全保証合意はウクライナのための安全を具体的に保証するきちんと機能するメカニズムでなければならず、保証国に、北大西洋条約機構(NATO)条約第5条に似た、義務の生じるもので、しかし、侵略があった際には、3日以内に協議を実施し、支援を提供するというものだとし、軍、武器、空の封鎖などの軍事支援の形を取り得るものだ、と説明した。

さらに同氏は、国連安全保障理事会常任理国、英国、中国、ロシア、米国、フランス、トルコ、ドイツ、カナダ、イタリア、ポーランド、イスラエルを潜在的安全保証国と見ていると発言した。

写真:大統領府