「スターリンクの代わり」 EU、ウクライナへの衛星通信支援を分析=報道
米国実業家イーロン・マスク氏が戦時にウクライナへの衛星インターネットサービス「スターリンク」の提供を維持するかどうかが不明な中、欧州連合(EU)の欧州委員会は、衛星通信をウクライナのために確保する支援の可能性を分析している。
ポリティコが報じた。
トーマス・レニエ欧州委員会報道官は、ウクライナはすでに、EUが提供する政府衛星通信Govsatcomと2030年代に利用開始となる新しいサービスIRIS²の利用に関心を表明したと発言した。
レニエ氏は、「委員会はその間でウクライナと連絡を続けていく」と発言した。
先週、欧州議会の仏選出「欧州刷新」会派のクリストフ・グルドレール議員はEU執行部に対して、スターリンクの代わりに「EUがウクライナに提案できるあり得るすべての代替衛星解決手段の評価」を緊急に行うよう呼びかけていた。
グルドレール議員は、認証プロセスを省略することでGovsatcomを今年中に配備することが、IRIS²が開発されている間の暫定的な決定となるかもしれないと指摘した。レニエ委員は、そのシステムはウクライナに「先駆的政府サービス」を提案するものとしつつ、それが実践でどうなるか、あるいはどれくらい迅速に運用できるようになるかは明言しなかった。
他の選択肢は、Eutelsat、Hipasat、SESというすでに静止軌道にある衛星やワンウェブ社の人工衛星システムから商業容量を調達することが考えられるという。
ポリティコは、ウクライナにとって衛星通信は決定的に重要なツールだが、マスク氏が戦時下で今後もスターリンクを提供し続けるかどうかが不明だと指摘している。
昨年、ウクライナは、約4万2000台のスターリンク端末が国内で利用されており、その約半分はポーランドが資金を出していると伝えていた。
これに先立ち、ロイター通信は、ウクライナとの協議を行っている担当者たちが、ウクライナに埋蔵する鉱物資源に関する合意協議の際に、スペースX社の衛星インターネットサービス「スターリンク」へのウクライナのアクセスを遮断する可能性について提起したと報じていた。
これを受け、ポーランドのガフコフスキ副首相兼デジタル化相は22日、ポーランド政府はウクライナのためにインターネット接続サービス「スターリンク」のターミナルを購入しており、衛星インターネット使用料金を支払い続けていると述べた上で、そのためポーランドが当事者である商業契約の破棄の根拠は想像できないと発言していた。
ウクライナのウメロウ国防相は23日、軍司令部は、スペースX社の衛星インターネットサービス「スターリンク」がウクライナ軍のために遮断された場合の、代替システムの模索作業をすでに行っていると伝えた。
23日、ゼレンシキー大統領は、ウクライナに対して、スターリンクサービスの提供含め、米国の支援が停止されることはほのめかされていないが、しかし、そのような情勢展開に向けた準備はしておかねばならないと発言していた。