ウクライナ政府機関、日本たばこ産業とフィリップモリスを「戦争支援者」リストに追加
ウクライナの国家汚職防止庁(NAPC)は24日、ロシアでの事業を継続している日本たばこ産業の子会社「JTインターナショナル(JTI)」と米国の「フィリップモリス・インターナショナル」を「国際戦争支援者」リストに追加した。
NAPC広報室が公表した。
同庁は、「JTIは、紛れもなく、ロシアのたばこ市場のリーダーである(市場シェアは約34.9%)。同社は、同国の販売規模で最大のFMCG(日用消費財)企業の1つである。ロシア市場における同社のポートフォリオには、国際的ブランドであるウィンストン、LD、メビウス、キャメル、ソブラニーや、ロシアのブランドであるドンスコイ・タバコ、キス、プレイ、ピョートル1世、トロイカなどが含まれている」と説明した。NAPCはまた、JTIは低リスクたばこ製品の最大大手メーカーの1つでもあると指摘した。
さらに発表には、JTIがロシアのたばこ産業における最大の投資者であり、主要な納税者であることが喚起されており、過去20年間でJTIのロシア経済への投資額は46億ドルを超えていると説明されている。さらに2020年、同社の納税額はロシア連邦歳入の1.4%を占めていたとし、JTI自身が2022年JTグループのためにロシア市場が約20億米ドル、あるいは連結売上高の約11%を生み出したと公言していると書かれている。
NAPCは、「同社代表者は、JTグループはロシアで新規の投資とマーケティング活動を停止したと述べてはいるものの、同社はロシアでの製造と販売を継続している」と今回のリスト入りを説明した。
続けて同庁は、「2019年のフィリップモリス・インターナショナル社のロシアにおける市場シェアは30.1%だった。同社は、ロシア予算への最大納税者の1つであり、その資金にてロシア軍が維持されている」と伝えた。
発表には、フィリップモリス・インターナショナルのロシアへの投資額は20億ドルを超えるとある。同社はロシアにて大規模な投資プログラムを実施しているとし、2017年以降、レニングラード州の工場でIQOSのためのスティックたばこの生産の現地化に140億ルーブル以上が投資されたと書かれている。また、2000年初頭のレニングラード州で開かれた工場への投資総額は、11億ドルを超えるという。
ロシア子会社の財務諸表によれば、ロシアの対ウクライナ全面侵攻の1年目に同社の売上高は8%増の1403億ルーブルであり、純利益は2021年比で45%増となる482億ルーブルだという。これに伴い、侵略国への予算には1億3600万ドル以上が税金として支払われたと説明されている。
NAPCは、「全面戦争開始時に、自らの評判を維持するためにフィリップモリスが自らのロシア事業を売却する以降を表明していたことは指摘に値する。しかしながら、全てのロシア事業売却の『試み』なるものは失敗に終わったようであり、同社は今もロシアの予算の最大の納税者の1つであり続けている」と指摘した。
これに先立ち、ノヴィコウNAPC長官は、ロシアで事業を継続することで同国の戦争遂行能力強化に加担していると判断される企業「国際戦争支援者」のリストには、現在31の国際企業が加えられており、その内国別で最も多いのは中国企業だと指摘していた。
NAPCによる「国際戦争支援者」リストに加えられている企業は、オンラインで確認できる。なお、日本企業が加えられるのは今回が初めて。
NAPCは4月13日、中国のスマートフォンメーカー「シャオミ(小米)」を国際戦争支援者リストに追加。6月23日には、中国の自動車製造企業ジーリー(吉利汽車)社を保有するジーリーホールディンググループを「国際戦争支援者」リストに追加したと発表していた。
なお、アイルランドのペニンシュラ・ペトロリアム社は、同様に「国際戦争支援者」リストに加えられたが、その後同社は侵略戦争非難の声明を出し、ロシア政権へのサービス提供を拒否。これを受けて、NAPCは、同社を同リストから除外している。
写真:delo.ua