ウクライナの100以上の市民団体、全面戦争中に選挙を実施しないよう要請
ウクライナの100以上の市民団体は、戦争のアクティブな局面に選挙を実施することは不可能だとする共同声明を発表した。市民団体はまた、戦争ができるだけ早くウクライナの勝利で終了し、民主的な選挙の実施が可能となるようにすべく、ウクライナへの支援を拡大するよう国際パートナーに呼びかけた。
18日、選挙問題全般を扱う市民団体「オポーラ」が声明を公開した。
声明には、「選挙と全面戦争は両立しない。その考えは極めて危険であり、選挙プロセスと選挙機関の正当性を失い、高い確率で、国家全体の著しい不安定化をもたらすものである。重要な挑戦は、戦争のアクティブな局面下での政治的意思の自由な形成、軍人と海外の有権者の完全な参加を確保できない点、戒厳令体制下で権利と自由が制限されている条件下での政治的競争が不在であることと結びついている」と指摘されている。
市民団体は、ウクライナ法が戒厳令下での選挙の実施を禁止していること、具体的には、ウクライナ憲法第83条4項が議会の権限を停止することを直接的に禁止しており、戦後の新たな議会選出までその権限を自動的に延長していることを喚起した。その上で、戦時下の選挙を形式的に「合法」とするようなどのような法改正も、憲法と国際基準の精神に反することになると指摘した。
さらに、声明には、選挙とは投票日だけを指すのではなく、国家のより良い発展計画に関する異なる勢力間の激しい討論も指すのであるとし、戦時下に政治的対立が不可能な中では、選挙が自由に行われることは絶対にないと主張されている。
また、ロシアが広めるウクライナ内外の偽情報は、選挙プロセスとその結果を非合法なものとすることを目的に、選挙運営主体や参加者の信頼を破綻することを目的したものが拡散されていくだろうとする懸念も指摘されている。
加えて、戒厳令下では、権利と自由が部分的に制限される可能性があり、それにより、選挙時の自由かつ公正な競争を保証するはずの、表現の自由と報道の自由が完全には確保できないとも書かれている。
さらに市民団体は、インフラが破壊され、選挙参加者の完全な安全の確保が実質的に不可能であり、700万人以上の国内外にいる国民と100万人以上の軍人の投票権の確保の必要性、戦時下に防衛戦力の一部となっている警察を選挙警備に関与させることの困難さなど、「どのような法改正でも克服できない治安と運営の面での極端な挑戦にウクライナは直面することになる」と強調している。
同時に市民団体は、ウクライナの選挙は実施されねばならないが、それは戦争が終結し、ウクライナが勝利した後に、選挙が自由で公正で民主的でアクセス可能なものとなるような、治安面とその他の面での条件が揃ってからだと強調している。
さらには、「戦時下には、そのような支出は不当であり、シニカルである。なぜなら、ウクライナは自らの存在をかけて戦っているのであり、より多くの武器と弾薬、病院の設備、その他の人道支援を必要としているからだ」とも書かれている。
その上で市民団体は、最高会議(国会)に対して、戦時下に選挙を実施しないよう要請し、代わりに、戦後の選挙実施の問題を解決するための本格的な専門的作業を開始し、包括的な議論の後で事前に必要な法案を策定し、法制面での準備を進めるよう呼びかけた。
同時に市民団体は、国際社会に対して、戦争ができるだけ迅速に、ウクライナの勝利で終了し、民主的選挙が実現できるようになるように、軍事、人道、経済の分野における体系的な支援を拡大するよう呼びかけている。