ハーグの国際司法裁判所にて、ウクライナ対ロシアの公聴会開始 7日まで継続
3日、国際司法裁判所(ICJ)(オランダ・ハーグ)にて、テロ資金供与防止条約と人種差別撤廃条約に関するウクライナ対ロシアの公聴会が始まった。
ウクルインフォルムの特派員が公聴会会場から伝えた。
公聴会は、6月3日午前10時に始まり、7日まで続く。
本日公聴会一日目は、ロシア側が発表を行った。ロシア側代表者は、ICJにはウクライナの主導する本件の管轄権がないと主張した他、「ウクライナは、ロシア語話者の自国民を差別している」、「タタール人たちは、クリミアが併合されて始めて、(ロシアにより)保護され始めた」などと主張した。
同公聴会でロシアを代表しているのは、ドミトリー・ロバチ外務省特命大使、グリゴリー・ルキヤンツォフ外務省人権・民主主義・法の支配問題全権兼人道協力・人権問題局局長。その他、ロシア連邦の検事総局、捜査委員会、国防省からも代表者が加わっており、英国の法律家のサミュエル・ウォルドスウォート氏、ポツダム大学の国際法専門家アンドレアス・ツィメルマン氏も参加している。
公聴会二日目となる明日4日は、ウクライナ側が発表を行う。
ウクライナ側代表団は、オレーナ・ゼルカーリ欧州統合担当外務次官が率いている。
なお、本件(ウクライナ対ロシア)は、2017年1月16日にウクライナ側がICJに提出したもの。
提出されたウクライナからロシアに対する断罪内容は、ロシアによる違法武装集団への武器等供与、マレーシア航空機MH17の撃墜、マリウポリ・クラマトルシク民間人居住地区への砲撃、ヴォルノヴァハ近郊での民間バス破壊、ハルキウ市平和集会時の爆発、ウクライナ人・クリミア・タタール人コミュニティに対する差別、クリミア・タタール民族代表機関「メジュリス」の活動禁止、一連の失踪・殺人・家宅捜索・拘束、ウクライナ語・クリミア・タタール語の教育機会の制限となっている。
なお、これまで、2017年3月6日に、ICJで本件に関する最初の公聴会が行われており、それを受けて同年4月19日、ICJは暫定措置の決定を言い渡している。ICJは、この決定にて、ロシアに対して、メジュリスの活動を再開させること、クリミアにウクライナ語での教育を保障することを命令している。