オランダ議会、マレーシア航空機MH17撃墜事件につき、ウクライナによる東部上空閉鎖未実施の捜査を提案
8日、オランダ議会は、2014年のマレーシア航空機MH17撃墜事件につき、事件当時ウクライナが東部上空を一般旅客機のために閉鎖していなかったことにつき、追加捜査する案を支持した。
議会は、与党「キリスト教民主アピール(CDA)」の提案を満場一致で支持した。ウクルインフォルムのハーグ特派員が伝えた。
クリス・ヴァン・ダムCDA議員は、ツイッター・アカウントに「ウクライナ上空空間が閉鎖されていなかった事実の追加捜査の提案が、たった今満場一致で採択された」と書き込んだ。
なお、これに先立ち、先週のオランダ下院の本会議にて、議員たちが、MH17事件発生当時にウクライナ上空が閉鎖されていなかったことのウクライナによる責任の問題を提起していた。
その際、ブロック・オランダ外相は、ウクライナの責任を問うには法的根拠がないとの政府の公式立場を繰り返し、オランダ政府は本件に関する追加的捜査を行う理由はないと考えていると発言していた。一方で、下院の議員たちは、2015年のオランダ安全保障評議会の分析結果を参照し、オランダ政府に対して、ウクライナによる空間閉鎖が行われなかったことへの完全な捜査を行うよう主張していた。
なお、チェンツォウ駐オランダ・ウクライナ大使は、本件を巡り、MH17撃墜の重要捜査や犯人究明から注意が逸らされるやり取りが生じていることへの落胆を表明している。同大使は、過去5年間、ウクライナはオランダととともにMH17撃墜事件の捜査に緊密に協力してきており、その際に上空空間閉鎖に関する情報も提供してきたと説明した。
マレーシア航空機撃墜事件とは、2014年7月17日、アムステルダムからクアラルンプールへ向かっていたマレーシア航空機MH17がウクライナ東部ドンバス地方上空で武装集団により撃墜され、乗客・乗員合計298名全員が死亡した事件をいう。
2016年9月、国際共同捜査チーム(JIT)は、同事件の技術捜査の結果として、同航空機が、親露武装集団支配地域から地対空ミサイル・システム「ブーク」により発射された弾頭「9M38」により撃墜されたことを判明させていた。
同時に、民間調査グループ「ベリングキャット」は、MH17を撃墜した「ブーク」がロシア軍第53対空旅団発のものであることを判明させていた。ベリングキャットは、ソーシャル・メディアとオープンソース情報の独自の分析を通じて、MH17撃墜に関与した20名のロシア軍人を特定させた報告書を発表した。これら軍人の名前が写真付きで示されているこの報告書は、オランダの検察に渡されている。
2018年5月24日には、JITは、MH17を撃墜したロシアのミサイルの破片を公開しつつ、ミサイルがロシアのクルスクを拠点とするロシア軍第53対空ミサイル旅団に属するものであることが判明したと発表した。
本年6月19日、JITはさらに、マレーシア航空機MH17撃墜に関与した容疑者を公式に発表した。