ウクライナ対ロシア:外務省、国際司法裁判所での今後の流れを説明
8日にウクライナ対ロシア案件の管轄権を認めた国際司法裁判所(ICJ)は、今後ロシアに対して、自らの主張を記す答弁書の提出期限を定める。その後で、ウクライナは、案件の内容面での公聴会にて、自らの案件の提示を行えるようになる。
ウクライナ外務省が、ICJの同日の管轄権承認の判決に関してコメントを発出した。
コメントには、「本日の判決の結果として、ウクライナはICJに内容面で本件の提示を行う準備ができている。次の行動として、ロシア連邦の答弁書(Counter-Memorial)の提出期限が裁判所により定められることが待たれる。提出後、裁判所は、内容面での公聴会を開き、そこでウクライナは完全な案件の提示を行うことができるようになる」と書かれている。
外務省はまた、11月8日、ICJがロシアによる管轄権の否定を決定的に退け、ウクライナの訴訟が適切に裁判に提示されたことに同意したと指摘した。
また、コメントには、ロシアは長期間にわたり、多くの国際法違反の責任を回避しようと努力し続けてきたが、同日の判決により、ウクライナは、ロシアに責任を負わせることを目的とする法的追求を前進させることができるのだと説明されている。
その他、コメントには、これまでの国際裁判所の判決として、「今日の命令は、ウクライナの一続きの成功の中に位置づけられるものである。2019年5月には、国際海洋裁判所(ITLOS)は、ロシアに対して、違法に拘束・だほしたウクライナ軍人と海軍艦船の解放を命じている。2017年4月には、ICJが、被占領かクリミアにおけるクリミア・タタール人とウクライナ人のコミュニティの保護を命じる画期的な暫定措置を採択している」と喚起されている。
これに先立ち、2017年1月16日、ウクライナは、ICJに対して、「テロ資金供与防止条約」と「人種差別撤廃条約」の二つの条約の違反に関する訴訟を提出していた。
提出されたウクライナからロシアに対する断罪内容は、ロシアによる違法武装集団への武器等供与、マレーシア航空機MH17の撃墜、マリウポリ・クラマトルシク民間人居住地区への砲撃、ヴォルノヴァハ近郊での民間バス破壊、ハルキウ市平和集会時の爆発、ウクライナ人・クリミア・タタール人コミュニティに対する差別、クリミア・タタール民族代表機関「メジュリス」の活動禁止、一連の失踪・殺人・家宅捜索・拘束、ウクライナ語・クリミア・タタール語の教育機会の制限となっている。
なお、これまで、2017年3月6日に、ICJで本件に関する最初の公聴会が行われており、それを受けて同年4月19日、ICJは暫定措置の決定を言い渡している。ICJは、この決定にて、ロシアに対して、メジュリスの活動を再開させること、クリミアにウクライナ語での教育を保障することを命令している。
また、本年6月には、両案件に関する公聴会が開かれ、ウクライナ側とロシア側の双方がそれぞれの立場を主張していた。