【MH17裁判】公判3日目 1時間未満で終了 次回は6月8日

23日、オランダのスキポール裁判コンプレクスにおける2014年7月のウクライナ東部上空でのマレーシア航空機撃墜事件の3日目の公判は、1時間弱で終了した。次回公判は、2020年6月8日。

ウクルインフォルムのハーグ特派員が伝えた。

裁判長のヘンドリック・ステンガユス氏は、「裁判所は、6月8日に始まる公判に対する追加捜査に関する決定を延期する決定を採択した」と発言した。

同氏は、2020年6月8日午前10時(現地時間)に原告側と被告側は、自らの主張と追加捜査に関する要求を提示することができると発言した。

その上で、同氏は、「裁判所は、2014年7月17日に開始され現在まで継続している本件刑事捜査の中で、非常に多くの文書・ファイルが集められたと判断。弁護側は、これらの3万6000ページの捜査文書と大量のマルチメディア・ファイルを含むこれらの内容が得られたのは最近であり、情報を完全には把握できていないと述べた。そのため、弁護側に2020年6月8日まで、あるいはそれ以降までに捜査内容を把握し、自らの立場を準備することを許可する」と発言した。

同氏は、現段階では本件の審理をこれ以上詳細に行うことは不可能であると指摘した。同氏はまた、遺族が裁判所に対して捜査内容のへのアクセスに関する問い合わせを行なったと伝え、遺族の捜査内容へのアクセスは許可されるが、コピーに限るとし、クライアント以外の者との捜査内容議論は禁じられると伝えた。

なお、同日の公判は、新型コロナウイルス感染拡大を受けて傍聴者や記者を受け入れずに行われた。ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)元特別部隊所属のオレグ・プラートフ氏の弁護士は出廷していなかった。

公判は、オンラインで公開されていた。

MH17事件の公判は本年3月9日に開始されている。

マレーシア航空機撃墜事件とは、2014年7月17日、アムステルダムからクアラルンプールへ向かっていたマレーシア航空機MH17がウクライナ東部ドンバス地方上空で武装集団により撃墜され、乗客・乗員合計298名全員が死亡した事件をいう。

2016年9月、国際共同捜査チーム(JIT)は、同事件の技術捜査の結果として、同航空機が、親露武装集団支配地域から地対空ミサイルシステム「ブーク」により発射された弾頭「9M38」により撃墜されたことを判明させていた。

同時に、民間調査グループ「ベリングキャット」は、MH17を撃墜した「ブーク」がロシア軍第53対空旅団発のものであることを判明させていた。ベリングキャットは、ソーシャル・メディアとオープンソース情報の独自の分析を通じて、MH17撃墜に関与した20名のロシア軍人を特定させた報告書を発表した。これら軍人の名前が写真付きで示されているこの報告書は、オランダの検察に渡されている。

2018年5月24日には、JITは、MH17を撃墜したロシアのミサイルの破片を公開しつつ、ミサイルがロシアのクルスクを拠点とするロシア軍第53対空ミサイル旅団に属するものであることが判明したと発表した。

なお、2019年6月、マレーシア航空機MH17撃墜事件の捜査を行う国際共同捜査チーム(JIT)は、同撃墜に関与した容疑者4名を公表しており、オレグ・プラートフ氏(露国籍)はその内の1人。JITは、プラートフ氏につき、地対空ミサイル・システム「ブーク」の移送に関与し、航空機の撃墜した地域の警備を担当した容疑を発表していた。

スキポール裁判コンプレクスは、ハーグから約50キロ離れた場所に位置する。