ウクライナ東部被占領地の住民は失望しており、ウクライナはこの機会を利用すべき=専門家

市民団体「民主イニシアティブ基金」のマリヤ・ゾルキナ調査員は、ウクライナ東部ドネツィク・ルハンシク両州一部被占領地の住民が、過去7年間の占領とロシアからの不承認により、失望しており、ウクライナはこの状況を利用すべきであるとの見方を示した。

ゾルキナ調査員が国営テレビ局「家」出演時に発言した

ゾルキナ氏は、「『DPR/LPR』を独立した主体とするプロジェクトは完全に失敗した。それは、現地住民の間の気分、結果への失望に見てとることができる」と発言した。

同氏はまた、ロシアはその自称「共和国」を承認もせず、自国へと併合もしなかったとしつつ、他方で、現地の住民の間では何らかの国家システムへの需要が残り続けていると指摘した。

同氏は、「ロシアがその地を正式に自国へ統合する準備がないために、『ロシアはその地を見捨てない』だとか、『ロシアはその地に関心がある』と思わせるために、何らかの政治的な『募金』をしなければいけなくなっている。しかし、その上でなお、露国家院選挙の準備を含め、ロシアが行っていることは全て、それは単なる『募金』にすぎず、政治的な煙幕であることのシグナルとなってしまっている」と発言した。

また、同氏は、ロシアによる両州一部被占領地住民に対するロシア国籍証明書のばらまきについて、「それは類似の忍び寄る併合の手段として古典的なものだ。(中略)5年、10年、15年後、それらの領土のウクライナへの再統合が始まるとして、ロシアには、すでにその地で起こるあらゆることに影響を行使することのできる絶大で強力な手段を手に入れていることになる」と強調した。

同時に同氏は、現地住民の失望について、「ウクライナ、あるいは、ロシアへの完全統合へのシンパシーが高まっているのが観測されている」としつつ、他方で武装集団「DPR/LPR」に対するシンパシーは見られないと指摘した。

その上で同氏は、「ウクライナは長期的な展望を持って、そのシグナルを利用すべきである。なぜなら、ロシアは、その地の完全な統合には関心を抱いていないからだ」と発言した。

同氏はその際に重要なことは、人々がコンタクト・ラインを障害なく越境できるようにすることだと指摘し、人と人との繋がりがなくなれば、人々の考えに影響を及ぼすことはできなくなると主張した。