ゼレンシキー大統領、ラズムコウ国会議長の問題を指摘
ヴォロディーミル・ゼレンシキー大統領は、ドミトロー・ラズムコウ最高会議(国会)議長が独自の政治行動を取っており、議長職の推薦を受けた与党会派「人民奉仕者党」と距離を取っているとの考えを示した。
3日、大統領が西部トルスカヴェツィでの記者会見時に発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
大統領は、「党(編集注:人民奉仕者党)には、質問が100万ある。私は昨日、最高会議議長への100万の質問を聞いた。最高会議議長に対してのものではなく、そのチームが推薦した人間に対しての質問だ。私たちは皆、彼(ラズムコウ議長)がそのチームの一員ではないことを理解している。彼はそのことをかなり開けっ広げに話している。(彼は外では)オープンに話しているが、私たちと彼との対話は閉ざされている。私たちは、彼が単なる主体以上のものになりたがっていて、自党の党員と距離を取っていることを理解している。なぜなら、人民奉仕者党の支持率が、最高会議に入る他のどの政党と同じように、当初のそれと変わってきているからだ(編集注:支持率が下がっているの意)。彼は自らの独自の政治人生を見ている」とコメントした。
大統領は、ラズムコウ議長の解任問題は政党会派内部の問題だとの見方を示した。大統領は、「私は、基本的に、現状にコメントしてこなかった。最高会議議長が、影響やら圧力やらについて非常にたくさん話してきたのにもかかわらずだ。私は、それは人民奉仕者党、同党会派、単独与党会派の内部情勢だと思っている。なぜなら、人民奉仕者党党員であり、チームの一員であるラズムコウ氏は、党の推薦で議長職に就いていたからだ」と発言した。
加えて大統領は、ラズムコウ氏が人民奉仕者党の公約となっていた法案の採択を遅らせたり、国家安全保障国防会議(NSDC)によるヴィクトル・メドヴェチューク野党生活党幹部に対する制裁発動などの決定に賛成しなかったりしたことを指摘した。
また大統領は、ラズムコウ議長が半年前にある会派の要求でゼレンシキー大統領解任イニシアティブを求める議員署名リストを作成したと指摘しつつ、「(署名が)集まったのは60人だけだった」と明かした。
その上で大統領は、「最大の問題は、ラズムコウ氏がそれ(人民奉仕者党との対立)を公の場に持ち出したことである。何よりまず、それは党と話し合うべきで、それから公の場に出すべきだった。私は、それは彼を仲間だと思っていたチームにとっては、かなり不快なことであったと思っている。ただし、それは党内部のプロセスである」と発言した。
また大統領自身、ラズムコウ議長と長い間話をしていないとし、「思うに、彼はテレビ画面から何か私に話しているようである。私は、彼がどうして私に電話をしてこないのか、何も言わないのか、理解できない。なぜなら、私たちの間にはかなりオープンな関係があるからだ。(編集注:そのような関係は)あった。間違いなくあった。私は、それはもう独自の政治的行動だと理解している。そして、私は本件については、シンプルな考えである。『出て行きたいなら行けば良い』」と発言した。
これに先立ち、複数の報道機関が、数か月間にわたり、近々ラズムコウ最高会議議長の交代が予定されていると報じていた。
ウクライナ大統領府長官の顧問を務めるミハイロ・ポドリャク氏は、ラズムコウ氏と与党との間には国家発展戦略上の見解の相違があると指摘していた。
最高会議議員の間では、議長解任の手続き開始に向けた署名集めが始まっている。