ウクライナの偽情報検証団体、中国の影響を警告
ウクライナの偽情報検証団体「ストップフェイク」は、ウクライナにおける中国の影響はロシアのものよりソフトで抑制的だが、それを無視することはもう一つの危機に陥り得ると指摘している。
18日、ストップフェイクの共同創設者オリハ・ユルコヴァ氏が調査報告「偽情報への強靭性インデックス」の発表の際に発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
ユルコヴァ氏は、「中国に関する最大の脅威は、シンプルに、中国の影響を無視すること、である。一方では、ロシアの影響ほど活発ではないのだが、他方で、私たちがそれに注意を向けないと、私たちはロシアの危機と同時にもう一つの危機に陥り得ることになり、実質的に二つのハイブリッド戦争の前線に立たざるを得なくなるかもしれないのだ。中国の場合が、たとえ武力侵略ではないとしてもだ」と指摘した。
同氏はまた、ロシアと違い、中国はウクライナにおいて特別な目的は持っていないが、しかし中国には世界全体でのグローバルな目的があるとし、それは、とりわけ、新しい市場の獲得、軍事技術をはじめとする新しい技術の移植、米国に代わって多くの分野で世界のリーダーとなることだと指摘した。
同時に同氏は、ウクライナの専門家や政治の高いレベルでは、中国への脅威や「レッドライン」の必要性についての理解があるとし、ウクライナは中国とは貿易分野では協力しようとしているが、政治的パートナーにはならないようにしているが、しかしながら、中間レベルの政治家たちの間にはそのような理解がないと指摘した。
中国の影響力に対する社会の強靭性に関しては、ユルコヴァ氏は、社会は中国に関する情報を有していないと指摘した。同氏は、45か国で行われた、中国を安定勢力と見るか、不安定勢力と見るかを問う世論調査の結果につき、回答者の3分の1が「安定勢力」と回答、3分の1が「不安定勢力」と回答、3分の1が回答しなかったと伝えた。
その上で同氏は、「中国のナラティブはかなりシンプルだ。第一に、協力の魅力を伝えている。それ自体には何も悪いことはない。しかし、他のものは、脅威的、あるいは少なくともリスクがあると呼び得るものだ。例えば、中国が公式に拡散するのではなく、中国が資金提供している親中専門家や団体を通じて拡散されるナラティブがある。例えば、ウクライナは人権問題に関して中国を批判するのを回避すべきという内容のナラティブは、本質的には私たちの欧州的価値への攻撃である。また、ウクライナの政策は中国と米国の間をただよい、どちらの国も優先すべきでないという内容のナラティブは、私たちの欧州・欧州大西洋方針と反するものであり、一定のリスクを持つナラティブだ」と指摘した。
同氏はさらに、中国の影響発信チャンネルとなっているのは中国大使館であり、大使館は協力の魅力に関する中立的なナラティブを拡散しているが、同時に、中国の政治的ハイレベルでは、ウクライナとの繋がりは支持されていないと指摘した。