ウクライナ国会、汚職対策機関改正法を採択 大統領とG7大使が歓迎
ウクライナ最高会議(国会)は19日、政権高官の汚職犯罪捜査に特化した捜査機関「国家汚職対策局(NABU)」の法的地位を整理し、同局の独立性を高める改正法案を採択した。
最高会議議員304名が関連法案「NABU地位のウクライナ憲法要件に合致した変更に関する複数法改正」(第5459−1)に賛成した(過半数は226)。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
同法案説明文によれば、法案は、憲法とNABU法の間の齟齬を排除すること、及び、それに関連して、NABUの独立性を確保することにあるという。
今回の改正により、NABUは、「特別地位を有する中央執行機関」となる。また、NABUと閣僚会議(内閣)やその他中央執行機関連携の手続きの特別性が定められ、これにより閣僚会議によりNABUの活動への干渉が不可能となると説明されている。
また同改正により、閣僚会議に対して、現行法を根拠とした、(選考委員会が選考した人物の)NABU局長への任命、及び局長解任の権限が付与される。
NABU局長の選考は選考委員会が行う。選考委員会は、閣僚会議が独自に任命する人物3名と、閣僚会議が汚職対策の技術支援を行う国際パートナーの提案を根拠にして任命する3名の計6名にて構成される。
またNABUの活動の外部監査を行う監査委員会も、国際パートナーの提案を根拠に閣僚会議が任命する3名から構成される。
昨年秋の憲法裁判所の判決により不透明となっていた現NABU長官の法的地位に関しては、今回の改正により、同長官は、当初定められた任期が終わるまで同職の権限を継続して執行することになった。
採択後、ゼレンシキー大統領は、ツイッター・アカウントにて、「最高会議による重要なNABU法第5459−1の採択を歓迎する。同法を支持した304名の最高会議議員皆に感謝する! NABUの地位はとうとう憲法に合致して正常化した。これは、ウクライナの汚職対策インフラの安定的な活動にとっての重要な一歩だ」と書き込んだ。
さらに、G7のウクライナに駐在する大使たちで構成され、改革支援を行う「G7大使ウクライナ・サポート・グループ」もまた、ツイッター・アカウントにて、同採択を歓迎した。大使たちは、「G7大使たちは、最高会議によるNABU法採択とその党派を越えた支持を歓迎している。それは、独立した汚職対策機構を強化する上での前身である。新しい長官選考における透明性と競争性は決定的な意義を持つであろう」と指摘した。
なお、これに先立ち、2020年9月、憲法裁判所は、アルテム・シートニク現NABU長官の任命手続きを違憲とする判決を下し、NABUの法的基盤の弱体化が指摘されていた。