米英EU大使3名、ウクライナに司法改革実現を呼びかけ
ウクライナに駐在する米英と欧州連合(EU)の大使3人が、ウクライナは法の支配を無効化し、欧州大西洋統合の障害となっている司法界の汚職の影響力を克服すべきだと呼びかけた。
ウクラインシカ・プラウダ通信にクヴィン米大使、マーシカスEU大使、シモンス英大使が「ウクライナ変革の時が来た」と題する記事を寄稿した。
大使たちは、ウクライナ最高会議(国会)が高等司法評議会法のような司法制度を改革する法律を複数採択したことは極めて重要な達成であると指摘し、司法機関メンバーの公正さ検査をはじめ、その改革が今こそ実現されなければならないと指摘した。同時に大使たちは、「残念ながら」ウクライナ裁判官評議会が高等司法評議会の傘下に新たに設置される「倫理評議会」への候補者を提示していないと問題提起した。
また大使たちは、「裁判改革を更に実現するための最善の手段は明らかだ。私たちは、ウクライナ裁判官評議会に対して、その改革実現を支持したがっている人々に、倫理評議会メンバーになるための機会を与えるよう呼びかける。私たちは、専門的で能力があり、公正であり、改革を望む司法関係者がたくさんいることを知っている」と指摘した。
加えて大使たちは、倫理評議会問題以外にも裁判改革にとっての障害となっている出来事はあるとし、10月8日にウクライナ最高裁判所が憲法裁判所に対して、高等司法評議会改革法の個別項目の合憲性審査を申請したことを喚起した。これに関連して、大使たちは、昨年憲法裁判所が汚職防止法の重要項目を無効化したことにより危機が生じ、憲法裁判所を緊急に改革する必要があることが明らかとなり、その事件がゼレンシキー大統領が憲法裁判所の改革は最優先課題の一つだと発言する根拠となったことを指摘した。
大使たちは、「大統領は、透明かつ能力に基づいた憲法裁判所裁判官選考手続きがその論争を起こす裁判所を段階的に刷新するための重要な前提条件だと正しく認識している。その選考と、判決に必要な人数の要件を一時的に増やすことが、ベニス委員会の最重要勧告に含まれており、私たちも、それらの行動が正しい前進を強化すると思っている。残念ながら、2020年12月にベニス委員会が本件に関する結論を出して以降、その改革(編集注:憲法裁判所改革)は一切前進していない」と指摘した。
その上で大使たちは、裁判機構の最高レベルが独立した上で、原則を偏見なく遵守するようになったと人々に思われるようになってはじめて、国民の裁判システムへの信頼が生まれ、外国からウクライナへと直接投資が入ってくるようになるのだと強調した。
大使たちは、「特権階級とその共謀者に抵抗し、全ての国民に対してウクライナ法に従って公正かつ平等に接するよう要求し、並びに、現在法の支配を無効化しており、ウクライナの欧州大西洋統合の道にとっての障害となっている汚職的影響を克服する時が来たのだ」と主張した。