EU、ロシア等による「移民攻撃」への関与可能性を分析
欧州連合(EU)は、ポーランド、リトアニア、ラトビアの国境へハイブリッド攻撃を仕掛けるために、ベラルーシへと移民が送られている手段を分析する一環で、ロシア連邦など10か国の状況を注意深く分析している。
9日、スタノEU報道官が記者会見時に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。
スタノ報道官は、「私たちは、ロシアにおける状況を非常に注意深く観察している。それは、私たちのモニターと検証のプロセスの一部である。ロシアは、私たちがその点で観察している10か国の内の1国である。私たちは、私たちの所有しているロシアからの航空機の飛行状況や、ロシアが本件全体に関与しているとする情報やデータを分析している」と発言した。
同氏は、EUは、移民プロセスや、約10か国から移民がミンスクへと送られる際の各国の航空機利用状況を観察しており、またそれ以外にもさらに20か国の状況の展開も観察していると伝えた。同氏によれば、とりわけ、航空機の飛行経路、飛行頻度、搭乗者の構成、その内のどれだけの人物が元の国に戻っているか、ベラルーシへと移民を送る際に使われている航空機の位置や所属などについて情報を集め、分析が行われているという。
具体的に、同氏は、EUが観察しているのは、モロッコ、シリア、イラン、カタール、ソマリア、インド、スリランカ、ベネズエラ、ロシア、アゼルバイジャン、チュニジア、アルジェリア、リビアなどだと伝えた。
同氏はまた、ボレルEU上級代表が、移民危機解決手段を模索するために、最近イラクを訪れ、同国政府に対して、イラク国民がベラルーシのルカシェンコ政権にどのように利用されているかを説明したことを喚起し、同訪問によりイラクからベラルーシへの移民の流れが著しく減少したと指摘した。加えて、スタノ氏は、EU加盟国とベラルーシの間の国境の危機が深まるのを防ぐべく、EUは移民が出発・通過しているその他の国々ともコンタクトを取っていると伝えた。
なお、今年の8月以降、ベラルーシとEU加盟国であるリトアニア、ポーランド、ラトビアの間の国境で移民危機が生じている。EU加盟国の3国は、ベラルーシ側がハイブリッド攻撃の一環で3国に意図的な移民圧力をかけているとして、同国を非難している。
11月8日、ポーランド・ベラルーシ間国境のベラルーシ側に、ベラルーシ政権が誘導する形で約3〜4000人の移民が集まった。これらの移民は、不法な手段でのポーランド側への渡航を望んでいる。
フォンデアライエン欧州委員長は、ベラルーシが移民をEUへの政治的圧力の道具として利用していることに関連し、EU加盟国に対して、ルカシェンコ政権への追加制裁を採択するよう呼びかけている。