前ポーランド大使、ウクライナへのハッカー攻撃につき「露からの他の挑発に備えるべき」

ヤン・ペクロ前駐ウクライナ・ポーランド大使(2016〜2019年)は、13、14日のポーランド発のように見せかけたウクライナに対するサイバー攻撃について、両国に対する挑発行為の延長線にあるものだろうとの見方を示し、過去数年も両国の複雑な歴史を利用した事件があったことを喚起した。

14日、ペクロ氏がウクルインフォルム特派員にコメントした。

ペクロ氏は、ロシアによるウクライナ・ポーランド関係や、その他ウクライナが友好関係を有すパートナー国に対する更なる挑発行為に向けて備えておくべきだと指摘した。

また同氏は、今回のサイバー攻撃には驚かなかったとし、その理由として、これまでにもポーランド・ウクライナ間の関係悪化を狙った、両国の人々の歴史上の悲劇的な出来事(ヴォリンの悲劇やウクライナ蜂起軍(UPA)の歴史)の要素が利用されたことが何度もあったからだと指摘した。

同氏は、「現在重要なことは、ポーランドがウクライナを支持していること、ルブリン・トライアングル(編集注:ポーランド、リトアニア、ウクライナの3国からなる協力フォーマット)が存在すること、ポーランドはウクライナを支援していること、ポーランドには150万から200万のウクライナ人が暮らし、働き、学び、投資をしていること、ウクライナは(欧州連合(EU)との)連合協定に署名したこと、EUと北大西洋条約機構(NATO)に加盟するために進んでいることを、公開テキストで示すことだ」と発言した。

また、同氏は、ポーランドこそがウクライナのEU・NATO加盟を積極的に支持しているのだと指摘した。

同氏は、自身が駐ウクライナ・ポーランド大使を務めていた2016年から2019年にかけても、ポーランド・ウクライナ関係の悪化を狙った挑発行為が複数あったとし、「今回のサイバー攻撃も、バーチャルな次元ながらも、私が駐ウクライナ大使だった頃に行われたことと同様の試みだ。記念碑への攻撃、在ルーツィク・ポーランド総領事館へのグレネードランチャーでの砲撃などだ」と説明した。また、両国の友好関係弱体化を目的として、昨年に確認された、クラクフのポーランド記念碑に対する破壊行為、リヴィウのリチャキウ墓地での同様の行為の試みを喚起した。

その上で同氏は、「私は、それら行動には一定の相似性があると思っている。そのため、ここや世界中で活動している、ポーランドにいるロシアのエージェントの何らかの行動は予想可能だ。最も確度が高いのは、反ウクライナ感情をばらまく行為や、あるいは、ポーランド社会におけるウクライナ人への不信を呼び起こすためにそれが利用されることだ」と発言した。

同時に同氏は、「ポーランドもまた、ウクライナと同様に、ロシアのターゲットである。そのことは、ポーランドに対して行われているポーランド・ベラルーシ間国境でのハイブリッド攻撃が示している。モスクワの同意と支持がなければ、ルカシェンコがそのような行動に踏み切ることはなかっただろうことは明らかだ」と強調した。

同氏は、それは「始まりに過ぎない」可能性があると発言し、「ジュネーブとブリュッセルにおける、プーチンの屈辱と彼の要求の履行拒否の後、プーチン氏は自らを笑い者だと感じ、復讐をしたがっているだろう。そしてそれは、ウクライナとその他の国とのあり得る全ての同盟を対象とした、激しく、多段階的な行動となるだろう」との見方を示した。

これに先立ち、14日朝、夜間にウクライナの複数政府系サイトがハッカーによるサイバー攻撃を受け、サイト上の情報が閲覧できない状態となっていることが発表されていた。その後、フェドロウ副首相兼デジタル移行相は、ウクライナ国民のデータは被害を受けていないと伝えている。