ゼレンシキー宇大統領、国民にパニックに陥らないよう呼びかけ
ウクライナのゼレンシキー大統領は19日、ロシア連邦からの侵攻脅威に関連して、ウクライナ国民に対してパニックに陥らないよう呼びかける動画メッセージを公開した。
ゼレンシキー大統領の動画が大統領府のユーチューブ・チャンネルに掲載された。
大統領は、「(最近の)ニュースは一体何だろうか? それは過去8年間ある現実ではなかったか? 侵攻は2014年に起こったのではなかったか? 戦争の脅威が生じたのは今ではないのでは? このリスクが存在するのは今が初めてではないし、それが大きくなったわけでもない。大きくなったのは、それを巡る興奮である」と指摘し、ロシアの侵攻があり得るとの情報の拡散は、情勢解決において、ウクライナに妥協させるための環境作りを目的にしている可能性があるとの見方を示した。
ゼレンシキー氏は、「現在、私たちの大地ではなく、あなた方の神経に対する攻撃が活発に行われている。あなた方に常に不安がつきまとうようにするためだ。また、投資家の感情やビジネスにとっての諸条件も(攻撃)対象だ。ウクライナを妥協に追いやること、そのための状況を作るためにウクライナを弱らせることが目的であり、私たちの否定の声を弱々しく聞こえさせることが目的だ」と指摘した。
同氏は、現在、報道や情報空間では「ロシアとの戦争があり得る、侵攻はどの瞬間にも始まり得る、それは確実だ」といった情報で溢れていると発言しつつ、「いわく、どうやら私たちが準備ができていないことも『確実』で、しかし、どうやら私たちは放っておかれることはないし、世界中の皆が私たちを支持しているが、しかしウクライナの皆が動員されており、しかし、それは確実ではないなどと述べているのだ」と世間の情報が錯綜していることを揶揄してコメントした。
その上で、ゼレンシキー氏は、国民に対して、パニックに陥らないよう、ロシアのウクライナに対するあり得る侵攻に関する情報は批判的に評価するよう要請した。その際同氏は、侵略国ロシアは意図的にウクライナ国民に対してパニックを撒き散らしているとし、ロシアの攻撃的意図に乗らないよう、尊厳と誇りを保つよう呼びかけた。
同時に同氏は、ウクライナ政権はパートナーたちと状況の外交的解決に向けて緊密に協力し、また自国の防衛能力を強化していると伝えた。
さらにゼレンシキー氏は、国民に対して、深呼吸をして、落ち着いて、ソバの実やマッチを買いに走らないように呼びかけつつ、「では、何をすべきだろうか。それは一つだけだ。平穏を、冷静な頭を、自らの力、軍、私たちのウクライナへの確信を維持することだ」と伝えた。
また、同氏は、1月22日には「ウクライナ統一の日」が祝われ、ザポリッジャ市の橋の開通が行われるとし、「これから道も橋も学校も、スタジアムも車両も飛行機も戦車も作っていく。大半の国民のワクチン接種も行う。4月にはイースターを祝おう。5月は、例年通り、太陽、休日、シャシリク…もちろん、勝利の日もやってくる。その後は夏だ。私たちは、共通試験を受けて、大学に入り、休暇を計画し、畑を耕し、結婚し、結婚式へ行く。それから秋だ。秋には、カタールのワールドカップで私たちの代表チームを応援しよう。そして冬だ。新年のお祝いの準備をしよう。いつもと同じく、12月31日には、親族皆でテーブルを囲む。そして、年末年始の挨拶で、私は、『親愛なるウクライナ国民よ!』と言うと確信している。もう言ったって? そして、『私たちは素晴らしい!』とも言う」と発言した。
ゼレンシキー氏は、「私たちはパニックに陥らなかった。挑発に乗らなかった。私たちは、落ち着き、強いままで、来年も新年を迎える。パニックも、恐怖もなく。あと、ウイルスもないことを願っている。そして、心から『戦争もない』ことを信じている。ウクライナに栄光を!」と呼びかけをまとめた。