米国、ウクライナの親露政治家4名に制裁発動
米財務省は20日、ロシアの利益と結びついた活動をしていたウクライナの4名の政治家に対する制裁の発動を発表した。
米財務省広報室が公表した。
発表には、米財務省外国資産管理室が「ロシア政府のウクライナ不安定化を目的とした影響活動に関与する4名の人物」に対して制裁を発動したと書かれている。
また、同省は、今回の制裁発動は、ロシアの偽情報を拡散する人物・団体へ対抗する米国の努力の一環だと伝えた。
制裁対象となった4名は、親露政党「野党プラットフォーム・生活のため党」(野党生活党)のタラス・コザーク最高会議(国会)議員とオレフ・ヴォロシン最高会議議員、ヴォロディーミル・オリーニク元「地域党」所属最高会議議員、ヴォロディーミル・シウコヴィチ国家安全保障国防会議(NSDC)元副書記。
米財務省は、コザーク氏は、ウクライナにて複数のテレビ局を所有し、ロシア連邦保安庁(FSB)によるゼレンシキー・ウクライナ大統領の周囲人物の評判を落とす計画を支持したり、米国選挙に関する偽情報を拡散するために報道機関を利用したりしたと説明した。
ヴォロシン氏に関しては、米財務省は、「ウクライナ政府関係者の立場を弱め、ロシアの利益を擁護するために、ロシア代表者と協力した」と説明した。さらに、ロシアの情報機関と繋がりがあり、米国大統領選挙への影響力行使を試みたコンスタンチン・キリムニク露国籍者とも協力していたと書かれている。
オリーニク氏については、常にロシアを支持してきた人物であり、現在モスクワに暮らし、ロシアの反西側感情を共有しており、「2021年には、ウクライナの決定的重要インフラに関する情報を収集するというFSBの指示を受けた活動をしていた」と説明されている。
シウコヴィチ氏に関しては、「クリミアのロシアへの公的譲渡に向けてウクライナにて支持形成のための影響作戦をロシア情報機関のエージェントネットワークとともに行っていた」と書かれている。
発表によれば、制裁内容は、米国法の及ぶ範囲にあるこれらの人物の資産の凍結だという。
また、国務省広報室は20日、ブリンケン米国務長官による、今回の制裁に関する声明を公開した。
ブリンケン氏は、「ロシアの情報機関、特に米国の制裁対象となっているFSBは、ウクライナへのあり得る新たな侵攻の前に、機密情報へのアクセスを得るために、重要ポストにいるウクライナ国民を雇っている。FSBは、ウクライナにおいて不安定化を生み出すために、これらの幹部を利用している」と発言した。
同氏は、米国はこれらの影響作戦を阻止するために、これら対象の特定、摘発、懲罰に向けて、ウクライナ政府と緊密に調整していると伝えた。
また、声明には、「2020年、クレムリンの幹部は、ウクライナの国家機能の能力を部分的に弱体化させることを目的とした包括的情報作戦を開始した。今日制限が発動された人物は、そのキャンペーンにて重要な役割をになっていた」と説明された。
さらにブリンケン氏は、ロシアの同作戦は、ウクライナのみを対象にしたものではなく、米国も対象にしたものだと指摘し、またロシア情報機関が2016年の米選挙にも介入しようとしたことも喚起した。