独海軍総監「クリミアは戻らない」発言にウクライナ外務省抗議 独国防省「公式立場と異なる」とコメント
ドイツ海軍総監のカイ=アヒム・シェンバフ中将がインド防衛研究所の会議にて、「ウクライナはクリミアを失った、それは二度と戻らない」などと発言したことに対し、ウクライナのクレーバ外相は、両国関係の水準に合わないものだと抗議するメッセージを発出。また、ドイツ国防省は、同発言は公式立場と異なるとのコメントを発出した。
クレーバ外相は、ツイッター・アカウントにて、「最近のドイツによる、特に、第3国に許可を出すことを通じた、防衛兵器の譲渡ができないとする発言や、クリミアの返還に展望がないとする発言や、SWIFTからのロシア遮断への迷いは、私たちの関係の水準や現在の治安情勢に合致しないものである」と書き込んだ。
クレーバ氏は、現在、かつてないほどにロシアに対しての西側の団結が重要なとなっており、その達成とロシア抑制に多大な努力が向けられていると指摘し、その上で「ドイツのパートナーたちは、そのような言葉や行動にて団結を弱体化させること、そして、ウラジーミル・プーチンをウクライナへの新たな侵攻へ向かわせるようなことは、止めるべきである」と強調した。
同氏は、ウクライナはドイツに対して2014年以降のサポート供与や、ロシア・ウクライナ武力紛争解決の外交努力につき感謝しているとも指摘しつつも、他方で「しかし、ドイツの現在の発言は失望させるものであり、この支持や努力とは反対に向かうものである」と強調した。
同日、ウクライナ外務省のニコレンコ報道官も、ウクルインフォルムに対して、本件に関するコメントを提供した。
ニコレンコ氏は、「クリミア半島は、ドイツの中将の想像の中でのみなら失われる可能性がある。クリミアは、ウクライナとパートナーたちの熱心な努力によって必ず戻ってくる」と強調しつつ、「本件については、ドイツ政府からの釈明が不可欠である」と伝えた。
また、ウクライナ外務省は、本件つき、フェリドーセン駐ウクライナ独大使を外務省に召喚したと発表した。
加えて独ビルド紙は22日、本件につきドイツ国防省が「発言は、中身も、言葉の選び方も、連邦国防省の立場と一切相容れない」とするコメントを発出したと報じた。
同報道によれば、今後カイ=アヒム・シェンバフ海軍総監は、今回の発言に関して、ドイツ軍監査総長に対して報告を行わなければならないという。
これに先立ち、ドイツ海軍総監のカイ=アヒム・シェンバフ中将がインド防衛研究所の会議にて、クリミア半島は「ウクライナによって失われた、それが同国に戻ることは二度とない」などと発言し、さらにロシアは重要な国であり、対話を維持すべきであり、「プーチンは尊敬すべき」などとも述べていた。