EU、ウクライナ情勢脱出に向けて3つの方針を決定

ボレル欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表は、ロシアの攻撃的行動とウクライナ周辺のロシア軍集結により生じ、ウクライナと欧州全体が陥っている現在の安全保障上の危機につき、3つの主な脱出方針からなるEU加盟国の立場の概要を説明した。

24日、ボレル上級代表がEU外務理事会後の記者会見時に発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。

ボレル氏は、「一つ目の道は、ロシアに対話の道を選ぶことを説得するための集団的外交努力だ。ロシアのレトリックは信頼をあまり呼び起こさないが、それでもその努力は続けられていく。この観点から、(EU加盟国)閣僚たちは、私に対して、EUとその他の私たちの重要パートナーたち、特に米国、北大西洋条約機構(NATO)、欧州安全保障協力機構(OSCE)議長国全てと立場を調整し続けるよう指示した」と発言した。

同氏はさらに、閣僚たちがロシアに対して、OSCEやNATOロシア理事会といった協議メカニズムへと建設的に関与するよう要請したことを伝えた。また、EU側は、ミンスク諸合意履行のためにノルマンディ・プロセスや三者コンタクト・グループ(TCG)における活動の再活性化を促していくと説明があった。

続けてボレル氏は、「第二の方針は、外交がうまくいかなかった場合だ。私たちは外交が機能するようにあらゆることを行っていくが、しかし、外交が失敗した場合、私たちは、潜在的ロシアの侵略への対応の準備でかなり深いところまで進んだ。今後、EU内に限らず、国際的次元で、強力な団結でもって迅速かつ目的に適った行動が行われることに疑いはない」と強調した。

同氏は、3つ目の方針は、ウクライナやその他のパートナー国の強靭性を高める努力を増やすことだとし、そのためにEUはすでに非常に具体的な行動を行っていると伝えた。具体的には、同氏は、欧州委員長が24日に発表した、ウクライナへの12億ユーロのマクロ財政支援や、その他の中長期展望でのウクライナサポートのための融資等の緊急財政支援を挙げた。同氏は、この提案をウクライナに示すためにヴァールヘイ近隣政策及びEU拡大担当欧州委員が近々ウクライナを訪問すると伝えた。

さらに同氏は、EUは、サイバー・ハイブリッド脅威への対抗においてウクライナを支持する具体的手段を検討していると伝え、とりわけ、必要となれば、EU加盟国が参加するサイバーセキュリティ・ミッションをウクライナに展開する可能性も検討していると述べた。さらに、ウクライナ軍のロジスティック能力の向上、軍事教育改革を目的とするEUの予備ミッションの展開案の実現という支援についても説明された。ボレル氏は、EUは、その目的のために、最近ウクライナに対して3500万ユーロを拠出したと指摘した。

ボレル氏は、「私たちは、ジョージアやモルドバといった私たちのパートナーとの緊密なコンタクトを維持し、彼らへ国内の強靭性の強化が強力な民主主義機構の基盤であり、それが外からの脅威に対抗する上で非常に重要だというメッセージを送り続けなければならない。この目的で、私たちは、ウクライナにも、改革継続を呼びかけている」と発言した。

同氏はまた、EU加盟国は、現在の安全保障上の危機と対抗する上で立場を一致させなければならないとし、その団結こそがEUの強さの基盤なのだと強調した。

なお、24日、ブリュッセルにて、EU外務理事会の公式会合が開催され、その際EU閣僚たちは、ロシアにより引き起こされた安全保障上の危機に対する対応手段について協議を行っていた。