ハルマシュ宇三者協議代表「露武装集団は『望み』を事実かのように述べていただけ』
ドネツィク出身記者であり、三者コンタクト・グループ(TCG)ウクライナ代表団に加わるハルマシュ氏は、ウクライナは、ドネツィク・ルハンシク両州一部地域(CADLR)の武装集団の提案に対して、書面返答する義務を負っておらず、8日の政治作業部会でも返答をしなかったと発言した。
ハルマシュ氏がフェイスブック・アカウントにて同日のTCG政治作業部会の結果について報告した。
TCGとは、ロシア、ウクライナ、欧州安全保障協力機構(OSCE)の3者からなり、ミンスク諸合意の履行に関する技術的側面を協議するグループ。ロシアは、TCGにCADLRの武装集団を招待して出席させているが、武装集団にはTCGにおける決定権がない。
武装集団が、OSCEに送った書簡にて、ウクライナが「CADLR文書」へ書面返答する義務を負った、と主張していることにつき、ハルマシュ氏は、「それはモスクワの操り人形たちが、望んでいることを真実かのように語っていただけだった」と説明した。
ハルマシュ氏は、「今日、TCG政治作業部会が開催された。ウクライナは、『CADLR文書』に対し、一切の書面回答を行わなかった」と伝えた。
同氏はまた、ロシアのTCG代表者であるアレクセイ・ドミトリエフスキーは、イェルマーク・ウクライナ大統領府長官がウクライナは全ての情勢解決提案に回答すると約束したと主張したとしつつ、「そう、私たちは返答する。私たちは、TCG作業にある全ての提案を議論する準備がある。しかし、その対応を書面で行うという合意は、ないし、なかった。(1月26日付の)ノルマンディ4国パリ会合の総括である共同コミュニケ(編集注:共同宣言)を読んで欲しい。そこにはそのようなことについての言葉は一つもない」と説明した。
同氏は、ウクライナ側が書面回答しなかったことで「モスクワはがっかりしていた」と報告した。
その上で、「明日(9日)、TCG(全体)会合で何が起こるか見てみようではないか」と発言した。
これに先立ち、ハルマシュ氏は、「モスクワは、私たちがCADLRがTCGで提示している文書の検討を始めることを望んでいる。私たちがもしそれを検討すれば、私たちは、実質的に、彼ら(武装集団)を紛争の当事者、協議主体と認めることになる」として、CADLR提案にウクライナが書面回答することが、ウクライナと武装集団の「直接対話」の始まりとなるおそれがあるとして、警告していた。
これに先立ち、ウクライナのニュースサイト「週の鏡」が、1月26日のパリにおけるノルマンディ・フォーマット首脳補佐官級会合の際に、イェルマーク・ウクライナ大統領府長官が、武装集団代表者からのウクライナ東部情勢解決提案を検討する義務を負った可能性を報道していた。
これに対して、ポドリャク・ウクライナ大統領府長官補佐官は、ウクライナ政権内では、ウクライナ東部情勢解決協議は、ドネツィク・ルハンシク両州一部地域の傀儡集団とではなく、ロシアとのみ行うべきだとする立場が維持されていると発言していた。
ウクライナのクレーバ外相は、ロシアとの協議において、ウクライナの領土一体性問題の譲歩とドネツィク・ルハンシクの武装集団との直接対話は、ウクライナにとって決して受け入れられない「レッドライン」だと説明した。
なお、ウクライナや、欧米諸国は、ウクライナ東部の紛争の主体はロシアとウクライナであると主張している。他方で、ロシアは、自らは紛争の主体ではなく、ウクライナと武装集団が紛争の主体であり、ロシアは紛争の仲介者であるから、ミンスク諸合意履行の義務はないと主張している。