ミンスク諸合意の履行進展は、ロシアがウクライナと武装集団の直接対話要求を止めれば可能=クレーバ宇外相

ウクライナのクレーバ外相は、ロシアがウクライナ政府と武装集団「ドネツィク/ルハンシク人民共和国(DPR/LPR)」との直接対話を要求するのをやめれば、ミンスク諸合意の履行は進展させることが可能だと説明した。

10日、クレーバ外相がキーウにてシンクタンク「新欧州センター」と「フランス国際関係研究所」が共同開催したウクライナ・フランス関係のフォーラムの際のスピーチで発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。

クレーバ外相は、「ミンスク諸合意の受け止め方における重要な差異は、ロシアは、ウクライナが、いわゆる『LPR/DPR』との直接対話の中で、ミンスク諸合意履行方法について解決策を模索することを望んでいることにある。しかし、そのような要求は、ミンスク諸合意の中にはないのだ」と発言した。

クレーバ氏はまた、ミンスク諸合意履行のために、三者コンタクト・グループ(TCG)というメカニズム(編集注:ロシア、ウクライナ、欧州安全保障協力機構(OSCE)の3者からなる)が存在するが、TCGは、ロシアが常に(ウクライナと武装集団の)直接対話を求めるがために、実質的に活動ができずにいると指摘した。

同氏は、「ロシアはどうしてそんなことをしているのだろうか? なぜなら、ロシアは、もしウクライナがドネツィク・ルハンシクと直接対話をしたら、ロシアのこの紛争における地位が変わることを理解しているからだ。現在、ロシアは紛争の当事者であるが、もしキーウ、ドネツィク、ルハンシクの直接対話が成立したら、ロシアは紛争の仲介者に変身できるからだ」と説明した。

その上で、同氏は、ウクライナは、そのクレムリンの要求には同意しないと強調し、なぜなら、ロシアが紛争の当事者であることは皆にとって明白だからだと指摘した。同氏は、「もしロシアが、今の立場を変えて、ミンスク諸合意のロジックに戻ったら、私たちは前進することができ、まだ合意できていないことにつき、合意することができるようになる。今日、ベルリンにて、ノルマンディ・フォーマット(独仏宇露4国)の首脳補佐官級会合が開かれている。この会合は、パリでの最近(1月26日)の会合の続きであり、そこにて彼らはこの問題を協議している」と伝えた。

なお、ウクライナ東部におけるロシア・ウクライナ武力紛争は2014年から続いている。ウクライナや、日本を含むG7はじめ、欧米諸国は、ロシアが同紛争の当事者であると明言しており、同国に対して、ミンスク諸合意の履行を要求している。しかしながら、ロシア政権は、自国は紛争の当事者ではないと主張し、ミンスク諸合意に関しても履行の義務はないと主張している。

10日、ベルリンにて、独仏宇露4国からなり、ロシア・ウクライナ武力紛争解決協議を行う「ノルマンディ・フォーマット」の首脳補佐官級会合が開催されている。会合前、ウクライナを代表するイェルマーク大統領府長官は、ウクライナにとっては、同会合で「三者コンタクト・グループ」(TCG)の活動にとっての障害を取り除くことが目的の一つだと指摘していた