米大使館、露による「ウクライナによるミンスク合意不履行」との批判は「プロパガンダ」だと指摘

在ウクライナ米大使館は、ロシアによるウクライナがミンスク諸合意を履行していないとする批判を「純粋なプロパガンダ」だと指摘した。

11日、米大使館がフェイスブック・アカウントにコメントを書き込んだ

米大使館は、「ウクライナは、3つ全てのミンスク諸合意(編集注:「ミンスク議定書」「ミンスク覚書」「ミンスク両合意履行のための方策パッケージ」の3本の合意)の自らの義務を何度も勇敢に履行しようとしてきた。具体的には、特別地位法の毎年の採択、通過検問地点の稼働継続、ノルマンディ・フォーマットと三者コンタクト・グループを通じた合意履行のための建設的な対話にオープンであり続けることである。他方で、ロシアは、欧州安全保障協力機構(OSCE)国境監視団(OM)の活動を停止し、OSCE特別監視団(SMM)の移動の自由を制限し、ロシアが支配するドンバス地方にて勢力を維持し、自らがコントロールする勢力を武装し続け、停戦体制に違反している」と書き込んだ。

さらに大使館は、ロシアが紛争を誘発させ、ミンスク諸合意に署名したにもかかわらず、自らを紛争の当事者と認めることを拒否していると強調した。

加えて、コメントには、ロシアがウクライナに対して、ロシアではなく、その代理人たち(ロシア武装集団のこと)と「直接対話」を行うよう要求しているが、そのような対話は合意の要件ではないことが説明されている。

米大使館は、「モスクワによる、ウクライナがミンスク諸合意を履行していないとする断罪は、純粋なプロパガンダである。もしロシアがミンスク(諸合意)を信じるのであれば、自分で述べているように、ロシアが自らの義務を履行し、ノルマンディ・フォーマットとTCGの作業への障害を取り除かなければならない」と強調した。

これに先立ち、10日、ベルリンにて、独仏宇露4国からなり、ロシア・ウクライナ武力紛争解決協議を行う「ノルマンディ・フォーマット」の首脳補佐官級会合が開催された。会合は9時間以上に及んだ。ウクライナを代表したイェルマーク大統領府長官は、会合参加者は停戦とミンスク諸合意への支持が表明されたが、成果文書は採択されなかったと述べた。また、次期会合開催時期は未定ながらも「すぐに」開催されると発言した。

11日、ウクライナのクレーバ外相は、ベルリンでのノルマンディ・フォーマット首脳補佐官級会合では、ロシアが執拗にウクライナとロシア武装集団の「直接対話」を要求してきたが、ウクライナ代表団は自らの立場を固守し、レッドラインを越えることはなかったと発言した

ウクライナ東部におけるロシア・ウクライナ武力紛争は2014年から続いている。ウクライナや、日本を含むG7や、欧米諸国は、ロシアが同紛争の当事者であると説明しており、ロシアに対して、ミンスク諸合意の履行を要求している。他方、ロシア政権は、自国は紛争の当事者ではないと主張し、ミンスク諸合意に関しても履行の義務はないと主張している。