ゼレンシキー宇大統領とサンドゥ・モルドバ大統領が会談 トランスニストリア問題等協議
ウクライナのゼレンシキー大統領は27日、キーウ(キエフ)を訪問したサンドゥ・モルドバ大統領と会談し、同国の被占領地トランスニストリアの問題や、エネルギー分野の協力などについて協議を行なった。
両大統領が会談後共同記者会見を行なった。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
ゼレンシキー宇大統領は、「私たちとモルドバの間には、共通の国境があるだけではなく、価値と願望も共通している。今日、私は、サンドゥ大統領と会っている。あなた方の私たちの国と人との連帯は非常に重要だ」と発言した。
ゼレンシキー氏はまた、欧州統合が成功することで両国関係はより緊密になると述べ、欧州連合(EU)完全加盟へ向けて経験を交換していくと発言した。また、「両国は、ロシア連邦の侵略、ロシアの政策によって生み出された同根の脅威を有している。もちろん、脅威が同根であるならば、それへの対応もまた共通したものであるはずだ」と指摘した。
同氏はさらに、ロシアの侵略が、ウクライナにもモルドバにも、その他世界のどの国にとっても、今後二度と脅威とならないように、あらゆることを一緒に行うべきだと強調した。
同氏は、「それに基づき、私たちは、人文、経済、エネルギー、そして重要な政治、国境協力、あらゆる分野での協力を強めていかねばならない。そしてもちろん、安全保障もだ」と発言した。
同時に同氏は、ロシアの占領するモルドバ領トランスニストリアの問題についてもサンドゥ大統領と協議をしたとし、「ウクライナはその解決の保証国であり、今後もモルドバを積極的に支援していく」と発言した。
記者から、ロシアの占領するモルドバ領トランスニストリアの問題から攻撃があった場合について質問されると、ゼレンシキー大統領は、「全てロシア連邦によってひねくり回され、作られたものであり、リスクが生じる場合には、私たちは適宜対応していく」と発言した。
ゼレンシキー氏は、ウクライナは確かにトランスニストリアに関して「様々なシグナル」を受け取っているとし、それは「不愉快なもの」だと形容した。また、本件についてはサンドゥ大統領と話し合ったと伝えた。
同時に同氏は、「しかし、彼ら、モルドバ領一時的被占領下トランスニストリアにいる人々が知るべきは、私たちにとってそれ(編集注:ウクライナへの攻撃)は、『殴打』ではなく、『平手打ち』のようなものであるが、私たちはそれに対して間違いなく『殴打』で返答するということだ。しかし、私は、何よりも地域の不安定化が起きないようにあらゆることを行うべきだと思っている。私たちはそれをあらゆる手段で示していく。私たちは現在、ロシアと自分たちの大地で戦っている。ただし、ご覧の通り、ミサイル攻撃はベラルーシ領から何度も行われているわけだが」と強調した。
サンドゥ・モルドバ大統領は、「私たちは、トランスニストリアの全ての出来事を注意深く追っており、差し迫った脅威は一切目にしていない。私たちは、その分離主義地域にウクライナとモルドバにとっての脅威を生み出させないように、あらゆる可能なことを行なっている」と発言した。
サンドゥ氏はまた、両国は安全保障問題について定期的な対話を維持すべきであるとし、自身とゼレンシキー氏が、安定を維持し、情勢不安定化を目的とする挑発を回避するべく、ともに活動していくことで同意したと伝えた。
さらに同氏は、トランスニストリアの住民が「動員」される可能性に関する情報は現在確認されていないと指摘した。同氏は、「私たちは、時々そのようなニュースを聞いている。しかし、現在それは確認されていない。私たちは、トランスニストリアのその状況を非常に注意深く追っている」と伝えた。
同氏はまた、もし懸念を呼ぶ出来事が生じたら、モルドバ政権は方策を取り、パートナー国に報告すると発言した。
なお、27日、サンドゥ・モルドバ大統領がウクライナを訪問した。サンドゥ氏は、ゼレンシキー大統領との会談前に、キーウ州のボロジャンカ、ブチャ、イルピンを視察した。