ウクライナのための安全保証はNATOの集団防衛のようにはならない=ショルツ独首相

ドイツのショルツ首相は、ウクライナへと安全の保証を提供する準備がある複数の国がその詳細について協議を続けているが、その保証とは北大西洋条約機構(NATO)の条約第5条(集団防衛)の定めるような方策には絶対にならないと発言した。

ショルツ独首相が独国会にて議員たちの質問に答える形で発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。

ショルツ氏は、「それらがNATO条約第5条に一致するようなものとなってはならないのは明白だ。それらはこの具体的な状況に合致しなければならない」と発言した。

同氏はまた、全てのことをどのように組織するかという問題は、G7の国々や、保証を与える準備のある国の間で協議されているとし、ドイツもそのような(ウクライナに保証を与える準備のある)国の一つであると強調した。その際同氏は、全ての関係者がウクライナとの間で本件に関して協議にを行なっていると指摘した。

同氏は、「そのプロセスはまだ全く終わっていない。つまり、現時点では具体化はできない」としつつ、同時に、その枠組みはすでに記述されていると補足した。

同時にショルツ氏は、合意が破られた場合に、常に発動可能なものは効果的な制裁だとし、制裁は大きな役割を担うと発言した。

極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)の議員たちが、対露制裁は無駄だと述べ、独露間天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」の使用開始や、「ドイツ国民の利益にダメージをもたらす」ロシアの石油への禁輸発動を断念を提案し、エネルギー価格上昇とプーチンの戦争との間に関係はないと指摘すると、これに対して、ショルツ首相は、「私は、AfDが単に右派ポピュリズム政党というだけではなく、ロシアの党であるとの考えを維持する。皆がそれを留意すべきである」と発言した。その際、ドイツ国会の大半の議員から拍手が起きた。

保守系政党の議員から、ショルツ氏に対して、産業界に提供準備のある歩兵戦闘車マルダーと走行兵員輸送車フクスのウクライナへの提供プロセスを止めているのは誰かと尋ねると、ショルツ氏は、ドイツは同盟国と「勝手に行動することはなく、緊密に調整して行動する」ことで合意していると繰り返した。

ショルツ氏は、そのような機材を直接ウクライナに渡すよりも、ウクライナ軍により古い機材を提供できる国々にその機材を送る方が良いとの考えを示した。また同氏は、ドイツはすでにウクライナに、非常に多くの「最新かつ高価な」機材を送ったのであり、それらが空からの攻撃から町の中の標的や人々を守ることを可能にすると発言した。

写真:ウクライナ大統領府