カザフスタンは露と距離を取り、独自防衛を強化している=WSJ

ロシアがウクライナへの全面的侵攻を始めてから、カザフスタンはモスクワと距離を取り始め、自国軍を強化し、中国やトルコとの防衛関係を強め始めている。

24日、米ウォール・ストリート・ジャーナル誌がエヴァン・ゲルシュコヴィチ記者名義の分析記事を掲載した

記事には、「カザフスタンは、西側の対モスクワ制裁へと加わることを約束し、欧州へのロシアを迂回した石油の輸出を増やすと述べ、自らの防衛予算を増やし、この中央アジアの国を米国の軌道へ近づけようとする同国代表団を受け入れた」と書かれている。

ロシアと同国の中央アジアにおける最大の同盟国であるカザフスタンの間の距離の拡大は、プーチン露大統領にとって「予期せぬ挑戦となった」という。ソ連崩壊後の過去数十年、ロシアは軍事同盟の創設や、政治首脳陣へのサポートを通じて、カザフスタンへの影響力を維持していた。さらに、ロシアとカザフスタンは、7600キロメートル以上の長さの国境を共有する。これは、世界で米国とカナダに次ぐ長さである。

このことに加えて、著者は、現在カザフスタン政権が他の地域パートナーとの関係も積極的に強化していることを指摘する。今年4月には、中国国防部部長(国防相に相当)がアンカラを訪問し、トカエフ大統領と会談している。中国側発表では、軍事協力強化で合意に至ったという。

カザフスタンはさらに、トルコとの接近も望んでいるという。5月初頭にトカエフ大統領はトルコ首都アンカラを訪問し、防衛協力強化について協議をしており、特にトルコの無人機の製造をカザフスタンで行うことについて話し合っている。

また、カザフスタン首脳陣は、自国防衛予算を約10億ドル増額することを指示した。政権内では、ウクライナの強力な抵抗から教訓を学んだとし、現在、機動力と専門性を高め、ハイブリッド戦争において効率的に対抗する能力を保有すべく、自国軍を改革しようとしているという。

なお、23日、ゼレンシキー宇大統領は、トカエフ・カザフスタン大統領と電話会談を行ったことを発表していた。ゼレンシキー氏は、トカエフ氏に対して、ウクライナの領土一体性への原則的支持、ロシア武装集団「DPR/LPR」を国家として承認しなかったことにつき謝意を伝えた。両者は、経済、エネルギー、デジタル化協力プロジェクトについて協議したという。